2004 年 11 月 29 日 : コンセプトという名の ・・・
パレートの法則( 80 : 20 の法則 )に従い、枝葉末節に拘らず、最も大切な本質をおさえて行動すれば大抵うまくいく。
ソフィア・クレイドルは、今後、世界で利用される次世代携帯電話に組み込まれるソフトウェアを商品化し販売している。どのような思考過程を経て、今のビジネスをすることになったのか?そのあたりの発想の原点をまとめてみる。
IT 業界の方なら、オラクルというデータベース製造販売会社をご存知だろう。ソフトウェア業界ではマイクロソフトに次いで世界第 2 位の企業である。
創業当初、オラクルが開発したデータベースは不具合(バグ)の塊といってもよく、その品質は極めて低いものであった。そもそもまともに動作することはまず無かったという。そこで、オラクルの創業者であるラリー・エリソンは、リレーショナルデータベースというコンセプトを売ることから始めた。
ソフィア・クレイドルは、オラクルの発想に似た形態でビジネスを進めているようだ。つい最近、「カリスマ」というラリー・エリソンの伝記を読んでいて、そう思った。少々古い本ではあるが、読んで面白くためにもなる本である。それは、あくまでも発想の問題であり、商品の完成度は弊社とはまったく異なるのだけれども。
オラクルが今日のように巨大企業になったのには、3 つの要因がある。
(ラリー・エリソンは、はちゃめちゃなところのある人で、商品であるデータベースがいろんなコンピューター機種で動作するので、「浮気性なんです」なんて言って商品をプレゼンしていたらしい。これは一例に過ぎないので、もっと面白いところは本を読んでほしい。こんなにも笑えるビジネス書は滅多にない!)
私が携帯電話のソフトウェアビジネスを始める時まで、携帯電話のソフトウェアは、まったく統一されておらず、機種ごとにハードウェアとオペレーティングシステムが異なり、それぞれ別々に開発する必要があった。アプリケーションを開発するためのプログラミング言語も、オープンに統一されていた訳ではなかった。また、組み込み系ソフトウェアの仕事といえば、泥臭い仕事というのが定評であり、そこにコンセプトというものが入り込む隙間は無かった。
オラクルがデータベースでやった戦略は、携帯電話のソフトウェアの世界でも有効だ。
すなわち、様々な携帯電話で共通のアプリケーションプラットフォームを提供すること。
それは―― C++ のような、標準的なプログラミング言語でアプリケーションを開発できるような環境。
そして――オブジェクト指向という、ソフトウェアモジュールを部品化して再利用する開発スタイル。
組込みソフト業界によろこんで受け入れられるコンセプトだろう、と考えた。