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2005 年 01 月 16 日 : Web marketing V

ハイテクベンチャーの場合、世の中に無かったテクノロジーをマーケットに浸透させるという難関が待ち構えている。テクノロジーに集中しぎて、マーケティングが疎かになり、気付いた時には肝心のキャッシュが尽きているという話もよく聞く。

マーケティングの基本は誰にどんなメッセージを伝えるかだろう。あるテクノロジーの採用を検討している人に、適切なメッセージを伝えなければならない。

過去のハイテクベンチャーのテクノロジーが何故採用されたのかをよく学んだ後マーケット展開すべきだろう。

ジェフリー・ムーア氏は著書「キャズム」の中でこう述べている。

もし先進的なテクノロジーが時系列的にマーケットに導入されるとするならば、以下のような特徴をもつ 5 つの顧客セグメントに順番に受け入れられる。

[1]イノベーター:ビジネスとは関係なしにテクノロジーそのものに関心や興味がある人びと。値段が高くともテクノロジーが気に入れば買う。

[2]アーリー・アドプター:夢やビジョンを持って、そのテクノロジーを導入することで、他社と差別化を図りたい人びと。テクノロジーがドキュメントで丁寧に説明されていなくとも、直ぐに本質を見抜いてビジネスに応用する。

[3]アーリー・マジョリティー:実利的にテクノロジーを導入してビジネスの生産性を向上させたい人びと。導入を前提として積極的にテクノロジーを学ぶ意欲がある。コストパフォーマンスを重視する。

[4]レイト・マジョリティー:テクノロジーを導入しなければ、生き残れない人びと。必要に迫られてテクノロジーを学ぶ。

[5]ラガード:もはや時代遅れになった頃にテクノロジーを導入する人びと。

マーケットの 80 % を「アーリー・マジョリティー」と「レイト・マジョリティー」が占める。

過去の歴史を振り返れば、優れたテクノロジーは「イノベーター」と「アーリー・アドプター」までには比較的順調に導入される。その先の「アーリー・マジョリティー」の層にまで支持されるものは少ない。

だから「アーリー・アドプター」と「アーリー・マジョリティー」の間には目には見えない大きな断層らしきものがある。ジェフリー・ムーア氏はそれを「キャズム」という言葉で表現した。

ソフィア・クレイドルでも、最初は「イノベーター」と「アーリー・アドプター」が中心であった。携帯電話向けソフトの技術革新のスピードは想像以上に速い。「アーリー・マジョリティー」の層まで視野に入れたマーケティングが大切だろう。

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2005 年 01 月 15 日 : Web marketing IV

購買の理由となる問題や欲求を文章にした時、そこに含まれるキーワードの組み合わせの検索結果で、GoogleYahoo!で上位にランキングされなければならない。

例えば、欲求の文章が「携帯 Java アプリのサイズを圧縮したい」というのであれば、「 Java 」と「圧縮」で検索するだろう。検索結果のページで上位にランキングされた見出しのメッセージでクリックされる。

初めてサイトに辿り着いたお客様をイメージしたページ構成についてまとめよう。

インターネット草創期、トップページから訪問されることを前提に制作されたサイトが多かった。最近では、検索エンジンを経由して初めてサイトに訪問するのが普通だ。

サイト制作はトップページだけでなく、どのページも入り口となり得ると想定すべきである。検索する時のその人の問題や疑問や欲求などのイメージと、遷移した先のページの内容がシンクロすれば良い。

SophiaCompress(Java) のページの場合、携帯 Java アプリが簡単な操作で平均 20 〜 60 %圧縮できることが分かる。

そんな風にしてお客様が訪れるだろうという仮説を立てた。当たっていると、速やかにこのページで答えを見つけたことになる。外れていれば、お客様はブラウザの「戻る」ボタンを押し検索を再開するだろう。

検索結果からサイトへのシームレスの連動は極めて重要だ。大きなギャップがあれば、その先にいくら立派なコンテンツがあったとしてもお客様はそれを目にすることはないだろう。

製品ページでは、右サイドのボタンで、概要から詳細情報、評価版申し込み、購入など、分かりやすくなるように構造的な工夫をしている。

製品情報」、「サポート」、「デベロッパ」、「プレスルーム」、「会社案内」のメニューを各ページ上部に設けている。会社のあらゆる情報に直ぐにアクセスできるように工夫している。サイトに初めて辿り着いた時、サイトの全体構成を直感的に把握できるように配慮することも重要だ。

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2005 年 01 月 14 日 : Web marketing III

通常の営業活動と同じように、Web マーケティングにも「集客」と「販売」という 2 つのプロセスがある。「集客」はお客様をサイトへと導くプロセス。「販売」はお客様に製品を購入してもらうプロセス。

先ずは「集客」に絞ってまとめてみる。

ホームページを制作しても、肝心のお客様に来ていただかないと意味が無い。1 回で決まる商売もあるが、何度かのコミュニケーションを通じて決まる方が圧倒的に多い。何度もリピートしてサイトへ来ていただきく。そのプロセスを通じてお客様との絆を深める仕掛けや仕組みが肝心だ。

クオリファイされたお客様が好んで訪問するサイトをデザインするにはどうすれば良いだろうか?

普段どのようにしてインターネットから必要とする情報を得ているかを考えてみることがヒントになるだろう。

毎日、人は当たり前のようにしていろんなサイトを訪問している。

サイトを初めて訪問するきっかけは、90% 以上が、Google もしくは Yahoo! である。将来的には、マイクロソフトの MSN も考慮する方がベターだろう。

人は検索エンジンに「キーワード」をインプットし、検索結果の始めの 2 〜 3 ページの中でフィットするものをクリックすし、サイトを訪問する。

或いは、Web ニュースサイト、アドワ−ズ広告バナー広告などを経由して目指すサイトに辿り着く。

意外に広告をクリックする回数は少ないのではないだろうか。個人的には広告は滅多にクリックしない。たまに気になったものだけをクリックする程度。

インターネット広告を否定するわけではない。コストパフォーマンスからいえば、Google や Yahoo! の検索結果のページからサイトへ、という経路を考える方が良いだろう。逆を言えば、もっと効果的なインターネット広告の手法はまだあるような気がする。

実際、ソフィア・クレイドルには営業マンは一人もいない。バナー広告やアドワ−ズ広告を出したこともない。けれども製品は売れている。毎月売上の本数は着実に伸びている。

創意工夫で、足を使った営業活動や派手な広告に頼らなくとも、売上は上がる。但し、そこに辿り着くには紆余曲折が確かにあった。

もう少し具体的にお話をすると…

ソフィア・クレイドルは、携帯ソフト圧縮ツール SophiaCompressBREW 携帯向け C++ の GUI 開発環境 SophiaFramework を販売している。

この 2 製品についてのマーケティングアプローチは次の通り。

携帯 Java アプリを開発していて、そのサイズが容量制限をオーバーしてしまった時、インターネットを検索するのは自然の流れである。

大切なのは、「 Java 」(「 Java 」の代わりに「 i アプリ」でもよい)と「圧縮」や「 Compress 」のキーワードの組み合わせである。

大抵の場合、「 Java 」だけとか「圧縮」だけで検索しても目的とする情報になかなか到達できない。「 Java 」と「圧縮」或いは「 Java 」と「 Compress 」というようなキーワードの組み合わせで検索する。

実際に、Google で「 Java 」と「 Compress 」をキーワードにして検索をかけると、平成 17 年 1 月 14 日時点で、SophiaCompress のトップページが約 42 万件中全世界で第 1 位にランキングされている。

「 Java 」と「圧縮」をキーワードにすれば、「圧縮」というキーワードは日本語なので国内だけの話になるが、約 11 万件中第 1 位と第 2 位に SophiaCompress のページがランキングされている。

SophiaFramework は「 BREW 」と「 C++ 」や「 GUI 」、「 UI 」のキーワードの組み合わせが重要である。BREW で C++ プログラミングをしたい、或いは BREW で GUI を構築したい人は、そのキーワードの組み合わせで検索する。

「 BREW 」と「 C++ 」の組み合わせのキーワードならば 8.6 万件中全世界で第 1 位と第 2 位、「 BREW 」と「 GUI 」にしても 2.6 万件中全世界で第 1 位と第 2 位に、SophiaFramework のページがランキングされている。

「 BREW 」と「フレームワーク」、「ライブラリ」、「ユーザーインターフェース」、「オブジェクト指向」、「UI」などのキーワードとの組み合わせでも上位 3 位以内にランキングされている。

上位にランキングされた検索結果のページの見出しを見て、人はクリックする。切実な問題や欲求を抱える人はそんな風にしてサイトを訪れる。

上位に表示されるためには、SEO 対策と呼ばれるようなホームページ制作の工夫が必要である。「 title タグ」が重要である。人びとの問題や欲求に直結するキーワードで文章を構成するのが良い。キーワードを文中どこに置くかなどテクニックはあるようだ。意外に大切だと思ったのは、製品の名前をキーワードと関連させること。

SophiaCompress(Java) というようなネーミングはシンプルにお客様が求めているものをずばり表現している。インターネットではこんなネーミングもノウハウとなるかもしれない。

検索エンジン以外で重要なのは「お気に入り」からの訪問ではないだろうか。人は「お気に入り」に登録されているページをよく訪問する。

検索エンジンを辿って初めて来ていただいたお客様のブラウザの「お気に入り」に登録していただくための工夫も必要である。製品と関係のある、他にはない有益な独自情報をサイトに公開するアプローチも効果的だ。

ソフィア・クレイドルのサイトでは Java や BREW に関して、以下のような独自の技術情報を掲載している。

1. 携帯 Java プログラミング

2. BREW プログラミング入門

3. BREW のノウハウ集

すぐには商売に繋がらないかもしれない。けれども地道に情報発信を継続すれば、お客様との絆が次第に深まってゆく。

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2005 年 01 月 13 日 : Web marketing II

学校で教えてくれないことで、商売で最も大切なこと。それは「お客様のクオリファイ」である。お客様は誰なのか?これを考えずに商売して痛い目にあっている人は意外に多い。

人は家や自動車の購入や株式投資などで個人にとって大きなお金を動かすとき、どれにしようかと真剣に品定めをする。けれでも売り手として誰をお客様にしようか?、という逆転の発想ができない。

このことを学んだのは IBM の営業研修の場だった。ソフトウェア研究職を希望して入社したはずだった。いつの間にかそんな仕事もするようになっていた。IBM はセールスとマーケティングに秀でた企業だった。

学校で学べるベンチャー起業に必要なことは読み書き算盤くらいだろう。会社でもなかなか学べない。IBM 時代に商売で最も大切なことを学べたことは有り難かった。その経験がなければ、もっと苦戦していたに違いない。

「お客様のクオリファイ」は商売における基本中の基本。

マーケティングと営業をインターネットを駆使して展開しようと目論んでいる。スタッフも未経験分野だけに勉強しながらのアプローチである。試行錯誤もあり、上下左右にぶれることもある。少しずつ良い方向に収束しつつある。

インターネットはメディアである。

視聴者に適切なメッセージを投げかける行為は実社会以上に重要である。クリックするだけで、利用者は簡単に他のサイトやページへ移れる。だから、思わず購入してしまいそうになるくらいのインパクトあるメッセージを発信しなければならない。

どんな会社のどの部署に所属されているとか、どんな仕事のアプローチをされるのかとか、どんな夢を描いているのかとか、…お客様を仔細に想像しながら、イメージを創っていくプロセスが最も重要な仕事だ。

それができないと、お客様との適切なコミュニケーションがとれない。フェイストゥフェイスであれば、担当者のセンスで臨機応変に対応できる。インターネットではそれはできない。だからお客様のイメージをしっかりとプログラミングしなければならない。

携帯電話向けアプリ開発者の中でも、テクノロジーに興味があり、高度なアプリを開発し、世界をリードする最先端をゆくイノベーター。それがソフィア・クレイドルの今のお客様のイメージ。

想像力が肝心要である。しかし想像力の豊かな人は稀有な存在だ。

人生の夢を思い描いて生きる習慣が少ないせいなのかもしれない。けれども、いろんな新しい目標にチャレンジする過程で、きっと想像力は養われるだろう。

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2005 年 01 月 12 日 : Web marketing I

ハイテクベンチャーの場合、新規性のある製品をどうやってマーケティングするのかが最大の課題だろう。周囲のベンチャーを見渡すと、素晴らしい製品や技術はあるのだけれども、良さを世の中に完全に伝えきれていない現実を常々痛感している。

過去、個人の才能に頼った営業活動を展開したこともあった。しかし日の目を見ることはなかった。昨年の4月、アプローチを根本的に変えた。インターネットマーケティングに集中特化する決断をした。この秋から成果が徐々に実りつつある。

まだ製品の良さを充分に伝えきれていない歯がゆさがあることも事実である。けれども成長のペースも早い。既成概念にとらわれない発想をすれば良い。長い目でホームページの進化のプロセスを楽しんでいるとも言える。

このような進め方はどこか違和感が漂うかもしれない。進みすぎた歩調を半歩遅らせるほうが良いこともあるのも事実。ハイテクベンチャーの Web マーケティングのアプローチについて手法の例としてまとめことにある。

蒔く種の種類が異なれば咲く花も違う。インターネットマーケティングも、目的や理由が違えば結果もそれ相応に様々だ。原点といえる部分を抑えておくことは何よりも大切だろう。 

先ずはインターネットマーケティングに集中した目的と理由についてまとめてみる。

(1)インターネットは時間と空間の壁を超えるためのツールだ。自動車や鉄道、飛行機を遥かに超えるインパクトある、潜在能力を秘めた偉大なツールである。歴史を紐解けば、優れた武器を持ち、それを行使した者のみが勝者となれた。これからの新しい時代において、インターネットはそんな存在になるに違いない。

(2)ソフトウェア業では世界マーケットで製品の価値が認められることが必須とも言える。メーラーやブラウザ、オフィスツール、画像編集ツールなどのソフトウェアは世界中の人びとが利用している。世界で戦えるかどうかが重要なキーなのだ。製品の良さを広く世界に伝えてくれるインターネットはコストパフォーマンスに優れた偉大な武器である。

(3)Web は、1 年 365 日 24 時間無休で指示通り働く営業マンでもある。時間と空間の壁を超えて、瞬間的にオートマティックにマーケティングしてくれる。Web の能力に比例して売上は決まる。それは Web を創るチームの成果である。個人の才能と能力に頼る営業とは趣が異なる。Web マーケティングの場合、チームの智慧がシナジー効果として Web プログラミングされるわけだ。

(4)ソフトウェア製品はインターネットで流通できる。大幅にコスト削減できる。必然的に高収益な企業となる。21 世紀の企業にとって付加価値の極大化は重大なテーマだ。

(5)世界を移動する営業活動が不要となる。無駄な時間は生まれず、実質的な仕事にのみ時間を使える。高付加価値な経営が自ずと実現される。勿論、お客様との対話はある。メールや Web をベースとしたコミュニケーションでも意思疎通は十分可能だ。

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2005 年 01 月 09 日 : Bootstrap

ブートストラップ」というコンピューター用語がある。全く別々の存在である「ハードウェア」と「ソフトウェア」とが一体となって、コンピューターが稼動し始めるまでの一連の処理手順のことだ。

最初は「ROM」にハードウェア的に記憶された「ブートローダー」と呼ばれる、ごく小さなプログラムがメモリーに読み込まれ、ハードウェアの初期設定がなされる。そして、「ハードディスク」に記憶されている「オペレーティングシステム」が読み込まれ、コンピューターは動作可能となる。

昔、初めてコンピューターを勉強し始めた頃、鶏と卵の関係みたいなコンピューターの根本的な動作原理に興味を持って、このことを熱心に研究したのが懐かしい。

ベンチャー起業というのも、経営が安定するまでの一連の出来事はコンピューターのブートストラップに似ているように思える。製品とお客様、どちらが先かはっきりとしないが、会社がある程度軌道に乗ってくると、なんとなく製品とお客様とがハーモニーを成すように感じる。

お客様から必要とされるもの、欲せられるものが製品として提供される様が、次第次第にパーフェクトに近づいてゆく。

コンピューターも ROM に記憶されたブートローダーと呼ばれる極々小さなソフトウェアが無ければ動作しないわけで、コンピューター全体からすればそれが最初の重要なキーとなっている。

ベンチャー起業においても、コンピューターのブートローダーに相当するような、キーとなる小さなきっかけが掴めるか否かでその後の道のりは大きくことなってくるのではないだろうか。

創業して 3 年が経過し、お客様の数もまもなく 100 件を超えようとしている。しかも、時の経過と共にお客様の数の増加の勢いは加速している。最初はなかなかペースが上がらず、歯痒い日々を過ごすことも多かった。

幸いなことに、ある日を境として世界が変わったかのようにお客様が増えている。これも最初のお客様から始まっているわけで、最初のお客様から注文書をいただいた感動は忘れえぬ思い出として脳裏に強く刻まれている。

スタッフがこの時の感動と感謝を忘れない限り、きっとベンチャーを弛みなく成長を続けるんだろうなと思う。

ここまで来るには地道なマーケティング活動が続いた。もともと押し売りのようにして、製品を販売する性質ではないので、営業的には苦戦することが多かった。逆に言えば、それが良かったといえるのかもしれない。

これまで特に意識してやってきたことは、お客様との対話だ。販売代理店網を創って、製品を販売するのではなく、当社がお客様に製品を直接販売する道を選択したので、必然的にお客様との対話が続いた。

製品が完成すれば、メディアに流す、プレスリリースの文章は、丁寧にどの仕事よりも力を入れて努力した。そして、いろんなメディアに掲載されることが叶った。製品開発で多忙な時期でも、携帯 JavaBREW の技術情報の文章を寄稿したり、情報発信に努めた。

それらをきっかけにして、お客様との対話が始まったように思う。最初は製品の無償評価版の提供をし、お客様から評価版を試用した感想や印象、評価といったものを根気強くヒアリングした。お客様も忙しいので、なかなか本音を話してくださらないが、次第に製品のどこを改善すれば、お客様に受け入れられるのかが分かってくる。同時に、お客様との信頼関係も深まっていった。

要はお客様との対話を繰り返しながら、製品の機能をゆっくりとバージョンアップしていった。閾値とはこういうことをいうのかもしれないが、感覚的なのだが、製品のレベルがある段階を超えた時点で注文が増え出したように思える。インターネットや i モードの利用者がある時点を境にして、急増したあの感覚に近いように思える。

お客様との対話を根気強く続け、それをフィードバックし製品を育てる。そして、お客様からの注文をいただいた時の感動と感謝を大切にし、堅実、着実な商売を継続することこそがベンチャー起業の王道のような気がしてならない。

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2005 年 01 月 06 日 : From the top of the world

13 世紀の始めのこと。ある不思議な人物が、突如として歴史の表舞台に現れ、人類史上最大といわれるモンゴル帝国を築き上げた。何故、無名の存在に過ぎなかったチンギス・カンが、そんな気宇壮大な伝説のような歴史を成し得たのだろうか。

モンゴル帝国のことを調べていて興味深かったことは、遠い国々へのモンゴル遠征軍は、主として少年たちで組織されていたことだ。しかも、故郷であるモンゴルを出発する時は、10 代前半の者がほとんどであったという。しかし、少年たちの軍隊を率いる指揮官は、歴戦練磨の戦士で、彼らを充分に教え鍛えることができた。遠い国への長い遠征の過程で、少年たちは、指揮官の指導に素直に従い、自らの武術に磨きをかけたという。そして、さまざまな実地での体験や訓練を通して、一人前の勇敢な戦士へと成長していった。そのようにして統率された軍隊は、古今無双の戦闘力、機動力を擁して連戦連勝し、人類史上最大の世界帝国が誕生したということだ。

このような過去の歴史の断片からも、未来に向けてベンチャー経営の戦略を立案するための、ある種の教訓や示唆が見出せる。

若きスタッフたちが、世界の檜舞台で、自由にのびのびと楽しく活躍できる場を目指して、ソフィア・クレイドルというベンチャーは創業された。なかにはそれが信じられずに去るものもいたが、年々世界の頂点へと近づいている。創業以来ずっといるスタッフたちにはそれがよく実感できると思う。

世界に通用するようなものは、どのようにして生まれるのであろうか。

それは、一朝一夕に生まれるものではなく、木の年輪が増えるように、その土壌や礎となるところで、長い歳月がどうしても必要なのに違いない。恐らくモンゴル帝国は、伝統を享け継ぐものが、長期的な視野から、少年たちをじっくりと実践で育てることで、帝国の繁栄を築いていったのではないだろうか。

世界の頂点を目指している。だから、何年ものロングレンジに渡って、若い頃から自分たちの技術、製品、そして会社そのものを継続して成長させたいと願っている。

大企業に所属していた頃は、配属された組織の壁があって、世界レベルでものごとを考える余地はほとんど無かった。入社した瞬間、サラリーマンというのは安定しているけれども、数学でいうところの上限がある世界に思えた。

ある意味、ベンチャーを創業して思うのは、反対にこんなことだ。たしかに数学的に言えば、やりかたを間違えると、すべてを失うことや−∞となってしまう可能性もある。だが、+∞という数学も現実に存在する世界でもある。それこそ、創業したばかりの頃は、『世界を狙う』、という表現すらが夢物語としてしか捉えることが出来なかったかもしれない。いま残っているスタッフたちは、オリンピックのゴールドメダリストのように世界の頂点に立てる日を信じて、真剣に仕事に取り組んでいる。

去っていったスタッフたち、そしていまのスタッフたちのために『Dreams Come True. 夢は実現する』ということを実証したい気持ちでいっぱいだ。長期戦になろうとも、現実社会でいろんな経験を積み重ね、自らに磨きをかけ、いつの日か必ず世界で一番高い頂上に立ち、スタッフたちと共にそこからの美しい景色を眺めたい。

  
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