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2005 年 10 月 12 日 : 胡蝶の夢

荘子の斉物論篇に"胡蝶の夢"という話がある。

荘周(荘子の著者)が夢の中で我を忘れて胡蝶として楽しげに心ゆくままに空を飛んでいた。けれども目覚めると胡蝶ではなくて自分は荘周そのものであることに気付く。胡蝶が夢の中で荘周でいるのか、あるいは荘周が夢をみて胡蝶であるのか。その区別がつかないのは何故だろう。

荘子ではあらゆるものついて差別や区別はなくてすべてが等しい価値を持つという万物斉同という思想が一貫して流れている。

胡蝶の夢の話で面白いと思ったのは夢も現実も等しく同じとする考え方である。そんなことは現実離れした夢幻だと最初から諦められていることが多いのではないだろうか。

夢が現実なのか現実が夢なのか荘子によれば定かではない。等しく同じものと見なすこともできる。そんな風にとらえる方が希望が持ててなんとなく元気がわいてくる。

客観的にはソフィア・クレイドルが創造しようとしているモノは夢の話かもしれない。逆に現実と夢を同一視して現実から覚醒して夢の中へいってみるのもひとつの発想の転換ではないだろうか。

  

2005 年 10 月 07 日 : エンドレスな軌跡

販売すべきソフトウェア製品が完成した今、ソフィア・クレイドルのビジネスは単純に次の方程式で表現できる。(ライセンスビジネスなので [売上] = [粗利益] )

[粗利益] = [製品の種類] × [販売価格] × [販売数量]

この方程式の利益を最大化する目的の一種のゲームを考えてみよう。このとき、ゲームに勝利するには「製品の種類」「販売価格」「販売数量」の各パラメーターを最大化する方法を発見すれば良い。人的にも物的にも資金的にもいろんな制約条件がある。だからこれら三つのパラメーターは相矛盾し同時にプラスというわけにはいかない。それ故にアーティスティックなバランス感覚が要求される。

恐らく重要なのは経営におけるプライオリティであろう。プライオリティとはどのようにして設定するのがベストだろうか。起業家ごとに経営のスタンスは異なる。経営に対する自分の思いを表現する姿勢が問われる事柄だ。

できる限り長くソフィア・クレイドルが存続できるようにという思いが私のスタンスである。歴史を振り返った時にある事実に気付いた。どんな組織も範囲を拡大しようとするあまり却って衰退を加速するのではないだろうかということだ。ローマ帝国、モンゴル帝国、古代中国の秦など、あらゆる組織が巨大化することによって繁栄は築けても結果として必ず崩壊を余儀なくされている。だからソフィア・クレイドルの存続を願うには、できるだけ少人数で運営する仕組みやシステムこそが最もプライオリティが高いと考えている。

そのためには「販売価格」を高値で維持することが最も近道ではあるが、一般に製品価格と販売数量は反比例の関係にあって製品価格を高くするとその分製品の販売数量は減少する。

ではどうすれば良いかというと量より質を追求することである。この場合の量とは製品の種類のことである。製品の種類が多ければ多いほど開発や販売に携わる人の数は増える。だからと言って新製品は売れるとは限らない。大抵の新製品はマーケットからすぐ姿を消している。

ある種のヒット製品には限りなく売れ続けるというマーケットの側面がある。コンピューター業界ではそれが顕著である。Windows、Intel、Apple、ORACLE、Adobeなどの製品は寡占状態とも言える。販売する製品を限りなく絞ってヒットさせれば、同時に販売数量も最大化されるのではという未来が予想できる。

製品を販売し受注し出荷する業務そのものをシステムとしてIT化すれば、ソフトウェア製品なので販売数量が増えても人員を増やすことなく単純にコンピューターをグレードアップしたり台数を増やすだけで済む。至極シンプルなビジネスモデルが出来上がる。

もう一つ大切なことがある。それは絞り込んだ製品がロングレンジに渡って売れ続けるかどうかという視点だ。ロングセラーをどうやって発見するかが真の課題なのだ。IT 業界の場合、私たちが日常で使っている言語(言葉)から類推してプログラミング言語の周辺にあるのではないかという仮説を立てることができる。日本語も英語にしてもあらゆる言葉について言えるのは何百年間もその基本形は変わっていないということだ。

IT 業界では、次から次へと限りなく新製品の発売が繰り返されている。しかしそのコンピューターを動かしているソフトウェアそのものを記述しているプログラミング言語の大半は C/C++ や Java もしくは BASIC だ。ドッグイヤーとかラットイヤーとか言われて慌しい IT 業界でも、それを記述するプログラミング言語の世界では時が止まっているがごとしである。

1975年、ビル・ゲイツ氏が率いるマイクロソフトの歴史がスタートした。マイクロソフトの最初の事業は BASIC というプログラミング言語に関連するものであった。その BASIC は名こそ Visual BASIC と変われども、30年以上時を経た今も売れ使われ続けている。

果てしなくひろがるビジネスのヒントはこんなところに隠されていたりする。

  

2005 年 10 月 05 日 : 計り得ぬ価値創造

2005年10月3日、新月の日。ソフィア・クレイドルの第5期がスタートした。それに併せるように期待の新作 SophiaFramework Ver 3.0(β) を発表した。βとは言え実際のところ製品となんら遜色はない。

Chief Software Architectがしばらくの間、調整の休養をとるので万全を期してβにしただけ。創業以来3年半以上もの時間をかけて開発した渾身の作品である。不眠不休で仕事に没頭する景色にオフィスが彩られることもあった。

リフレッシュして新たな創作活動をするには長期休養が必要なときもある。最近、山下達郎やサザンオールスターズが相次いで6〜7年振りに新作をリリースしている。プロフェッショナルな傑作を世に送り出そうとすればそれなりに歳月がかかるものだ。あるときは何も考えずエンドレスに過ごす時の流れにも意味を見出せる。そんなひと時があるから数字に換算できないほどの価値が生まれる。

創業当初、マーケティングとイノベーションのマネジメントの両面で苦戦することも多かった。でも期を5回重ねるとなるとマネジメントも安定感が桁違いに増してくる。その時ある人は完全無欠なビジネスプランを書き下して、株式上場というようなプランを思い描いたりする。

第5期という事業年度を迎えて思うのは、売上や利益といった数字より遥かに価値があることってあるんじゃないの、ということだ。例えば、名作、名曲といわれる絵画や文学、クラシック音楽というものは数字に換算できないということである。むしろそんなものの方がロングレンジに構想するのならば価値がありそうに思えてくる。

ソフィア・クレイドルの経営の根幹は、そういった過去の歴史の過程を経て現代までに伝わってきた数々の作品の影響を強く受けている。

経営が安定してきた今こそ、目標とすべきは時を超えて生きる作品の創作活動ではないかと思ったりする。傑作と称される作品ほど定められた計画とは別の領域で創られるような気がする。何らかの秘訣は確かにありそうだ。

数字には換算できない価値を創造すること。ソフィア・クレイドルの目標は変化しつつある。

  

2005 年 10 月 03 日 : BREW アプリ開発環境 “ ソフィア・フレームワーク ” の C++ 機能を強化

[PRESS RELEASE]

ソフィア・クレイドル、BREWアプリ開発環境“ソフィア・フレームワーク”のC++機能を強化

〜スピードとメモリに関して携帯電話ハードウェア制約を克服し、BREW向けC++開発環境を実用化


[概要]

携帯電話向けソフト開発の株式会社ソフィア・クレイドル(本社:京都市、代表取締役社長:杉山和徳、以下 ソフィア・クレイドル)は、BREW【※1】アプリをC++【※2】で開発できる“SophiaFramework”【※3】をバージョンアップしました。スピードとサイズ、信頼性の観点からC++ライブラリの体系を見直し、刷新しました。その結果、BREWアプリをC++によって実用的に開発することが可能になりました。2005年10月3日から同製品β版無償トライアル受付を同社ホームページにて開始します。


[詳細]

携帯電話向けアプリは大規模化し複雑化する一方、開発期間は逆に短縮化される傾向にあり、開発生産性の向上はこの業界最大の課題です。PC向けアプリ開発では、再利用可能な“クラス”と呼ばれるモジュール群の組み合わせによってアプリを開発する、“オブジェクト指向アプローチ”によりこの課題は解決されています。

“オブジェクト指向アプローチ”では生産性は向上するものの、一般にそのアプリはスピードが遅く、サイズも大きくなるという欠点があります。PCと比較してハードウェア資源が圧倒的に劣る携帯電話ではこれが最大のボトルネックとなり、これまでこのアプローチが採られることはありませんでした。

この度、ソフィア・クレイドルはBREW向けアプリ開発環境“SophiaFramework”を“C++”と呼ばれるオブジェクト指向プログラミングの機能を中心にバージョンアップしました。それによって世界で初めてBREWアプリを“C++”で開発できる環境の実用化に成功しました。特長はスピード劣化を抑えた上で、コンパクトなサイズで、しかも信頼性の高いBREWアプリを簡単かつ短期間で開発できることです。“オブジェクト指向アプローチ”の再利用性を活かして、高度なアプリを過去のアプリ資産をベースにして重層的に開発することすら可能です。また、理解しやすく、不具合が生じにくいプログラミングスタイルも提供します。

2005年10月3日より同製品β版無償トライアル受付を同社ホームページにて開始します。価格は1ライセンス30万円(税抜)から。ソフィア・クレイドルは年間500ライセンス以上販売することを見込んでいます。

無償トライアル受付URL : リンク
SophiaFramework URL : リンク
本プレスリリースURL : リンク

■SophiaFramework Ver.3.0 の主な機能拡張
 1.新しいクラスおよび関数の追加
  ・乱数クラス
  ・日付クラス
  ・DNS 解決クラス
  ・ブロックアロケーションをサポートするヒープ管理クラス
  ・POP3・SMTP プロトコルを扱うメール送受信クラス
  ・ARM 組み込みライブラリを利用可能にする関数
 2.既存ライブラリの改良による開発支援の強化
  ・コードサイズと速度の最適化
  ・シミュレーター上でのメモリの確保・解放追跡機能強化
 3.BREW 3.1対応
 4.Visual Studio.NET とRealView Compilation Tools for BREWに対応

以上


■用語解説

【※1】BREW
読み方:「ブリュー」または「ブルー」
2001年1月に米国クアルコム社が発表した携帯電話向けソフトウェアの規格。「ブリュー」もしくは「ブルー」と読む。異なる携帯電話機のOSの仕様差を吸収し、単一のコンパイル後のプログラムをインターネットからダウンロードし、さまざまな携帯電話機でそのまま高速に動作できるように設計されている。日本ではKDDIが2003年2月よりBREWサービスを提供開始。NTT ドコモの一部の機種でBREWが採用されている。2005年10月現在、世界で24ヶ国45 の通信キャリアが採用しており、世界的な規模でその普及が急速に進んでいる。 

【※2】C++
読み方:「シープラスプラス」または「シープラプラ」
再利用可能なモジュールを組み合わせてプログラミングする、オブジェクト指向アプローチの観点からC言語を拡張したプログラミング言語。モジュール性と再利用性の観点から、C++によってプログラムの開発生産性が向上するに止まらず、保守性にも優れるというメリットがある。プログラムのスピードが遅くなり、サイズも大きくなるという点をデメリットとして挙げることができる。

【※3】SophiaFramework
読み方:ソフィア・フレームワーク
ソフィア・クレイドルが2002年8月に発表した、BREWアプリをC++プログラミングで開発することを世界で初めて実現した唯一のBREW向けC++オブジェクト指向開発環境。ユーザーインターフェース、通信、グラフィック描画、文字列処理など、ビジネス、コンテンツ、ゲームなどジャンルを問わず、あらゆるBREWアプリを開発するのに必要十分な“クラス”と呼ばれるプログラムモジュール群がラインナップされている。すでにKDDI公式EZアプリ(BREW)やビジネス系BREWアプリで多数の導入実績がある。

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2005 年 09 月 16 日 : 携帯Java専用アプリ圧縮ツール ”ソフィア・コンプレス” をアップグレード

PRESS RELEASE

ソフィア・クレイドル、携帯Java専用アプリ圧縮ツール" ソフィア・コンプレス " をアップグレード

〜 新しいクラス融合機能により圧縮スピードが45 %向上 〜

【概要】

携帯電話向けソフト開発の株式会社ソフィア・クレイドル(本社:京都市、代表取締役社長:杉山和徳、以下 ソフィア・クレイドル)は、2005年9月21日よりSophiaCompress(Java) 【※1】Ver.3.2の出荷を開始します。今回のバージョンアップでは、新しいクラス融合機能 【※2】の搭載により、従来と比べて、圧縮スピードが最大で45 %向上しました。また実行時のメモリ不足を回避する機能も搭載されました。2005年9月16日より無償トライアル版の申し込み受付を同社ホームページにて開始します

【詳細】

ソフィア・クレイドルは、携帯Java専用アプリ圧縮ツールSophiaCompress(Java) を Version 3.2 にバージョンアップし、2005年9月21日より出荷開始します。今回のバージョンアップの特長は、新しいクラス融合機能搭載による圧縮スピードの向上です。

携帯電話端末ハードウェアの進歩に伴って、携帯Javaアプリのサイズは大規模化しています。SophiaCompress(Java) では、携帯Javaアプリを構成する複数の”クラス”と呼ばれるモジュールを一つに融合するクラス融合機能により、携帯Javaアプリのサイズを飛躍的に小さくするというソフト技術を提供してきました。しかし、融合すべき”クラス”の組み合わせを無作為に行えば計算時間が膨大に発生するため、圧縮に多くの時間を要するという課題を抱えていました。これはアプリが大規模になればなるほど顕著になります。

そこで、今回のバージョンアップでは、融合すべき”クラス”組み合わせの最適化方法を、自動と手動の2パターンを用意するという新しいソフト技術を開発しました。その結果、圧縮スピードが最大で約45 %向上しました(当社調査)。

SophiaCompress(Java) Ver. 3.2 の主な拡張機能

1.圧縮スピードの高速化:最大約 45 %アップ
2.実行時のメモリ不足を回避する機能
3.ant 【※3】 から利用できる機能
4.インストーラ機能

なお、同社サイトにて、バージョンアップした本製品の無償トライアル版の申し込み受付を2005年9月16日より開始します。本製品の価格は1ライセンス30万円(税抜)から。

SophiaCompress(Java) URL:/products/sophiacompress_java/index.html

無償トライアル版受付URL : /form/trial_scj.html

本プレスリリースURL : /pressrelease/2005/20050916.html

以上

■用語の説明

【※1】 SophiaCompress(Java)
読み方:ソフィア・コンプレス・ジャバ
ソフィア・クレイドルが 2002 年 7 月に発表した、世界の携帯Java 仕様に対応した携帯電話専用の Java アプリ圧縮技術。コンパイル後の JAR 形式 Java アプリをそのまま圧縮し、実行できる携帯Java 専用アプリ圧縮ツール。大手コンテンツプロバイダや大手ゲームメーカー、大手システムインテグレータなどを中心に多数の導入実績があり、事実上の業界標準 Java アプリ圧縮ツールとなっている。

【※2】 クラス融合
二つ以上のJava のクラス(*)ファイルを、全部の機能をあわせ持った一つのクラスファイルに統合する機能。それぞれのクラスファイルの持つ情報を共有することができるため、融合されるクラスの数が多ければ多いほど高い圧縮率が期待できる。
(*) クラスとはJavaアプリケーションを構成するモジュール (部品) のこと

【※3】 ant
読み方:アント
一連の処理を自動化するためのJavaのツール。例えば、一般に大規模なソフトウェアはたくさんのプログラムから構成されるが、それらのプログラムをコンパイルし、設定ファイルを変更し、CVSサーバーに反映させるなどの一連の煩雑な作業をantにより自動化できるというメリットがある。

  

2005 年 09 月 15 日 : リニューアル

今月はホームページのリニューアルで忙しい。営業活動はWebのみなので自然と力が入る。製品のマーケティングばかりでなく、デザインや色調の修正などにもこだわりを持って探究している。

これで5回目のリニューアル。リニューアルするたび売上と利益もアップしているので今回も努力したい。

10月から第5期が始まる。それと歩調を併せるようにして新製品のβリリースを"新月"の日の2005年10月3日から開始する。

  

2005 年 08 月 25 日 : Ideal

戸を出ずして、天下を知り、
窓を窺(うかが)わずして、天道を見る。
其の出ずることいよいよ遠く、
其の知ることいよいよ少なし。
是を以て聖人は行かずして知り、
見ずして名づけ、為さずして成す。
(「老子」第47章)

一歩も外に出ずに天下のことをすべて知り、窓の外を見ずに天の道をすべて知る。遠くへ出かければ出かけるほど、逆に知ることは少なくなる。それ故に聖人は何処へも行かないでもすべてを知り、見なくともその名を言い当て、何の行動もせずに万事を成し遂げる。

老子が語るこの生き方を、ソフィア・クレイドルの理想の経営スタイルとしている。さすがに創業初年度とその翌年は企業存続のために、他に頼るあても無いので私自身が営業に出かけることもあった。経営に困らない最低限の受注をクリアすればそれ以上の営業活動は敢えてしなかった。むしろどうすれば老子が教えるようなスタイルが現実になるのだろうかと思索していた。お陰さまで今では事業運営に必要な経費は楽にカバー出来ている。

何ごともイメージしないことには始まらない。スタッフが最高傑作と誇れる作品を創造し、営業するまでもなくお客様がそれを選ぶという自然な流れ。それが最善のスタイルでありそれを実現することを目標にしている。今は営業活動することもなければ資金繰りに奔走することもない。自分の理想実現に集中特化し、与えられたすべての時間を投入している。

言葉でいうのは簡単だが、それを具体化するのは難しいものである。しかし日常生活において重要だと思うことがある。自分がモノやサービスを買うときの話である。それは人から勧められてというより自分の感性で選んで買う場合の方が多いという事実だ。ごく自然に当たり前のようにして儲かる商売のヒントはそんなところにありそうだ。

  
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