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2005 年 12 月 29 日 : 私的読書術

生命は有限だけれど、人が創り出したある種の"コンセプト"は時を超えて生き永らえる可能性を秘めている。

人と動物の間にある最も大きな差は、そんなところにあるのではないかと個人的に思っている。

だから人生を過ごす上で最も偉大な楽しみというのは無限の生命が宿る"コンセプト"を打ち出せるかという命題への解を探求する、一種の賭けである。

勿論、賭けであるので外してしまう恐れもある。けれども自動車など運転している時に事故に遭遇しないための習慣があるのと同様に、思い通りの結果を導き出すための方法論があるだろう。

ひとつが読書の方法である。

巷には書店に氾濫するほどの本がうず高く積まれている。その中から一冊の本を選んで読書して、人それぞれに楽しんだり生活や仕事に役立てようとしている。

僕自身、毎日多種多様な本を読むが、軽く読み流す本と何度も何度も繰り返し精読する本がある。

大切なのは精読する本を選ぶセンスにあるような気がする。何度も何度も繰り返し読むような本は個人の考え方に多大なインパクトを与える。それによって運命が決まることも無きにしもあらずだ。

座右の書とすべきかどうか。判断の基準はこんなところにあると思う。100 年後、300 年後、或は 1000 年後の未来の世界で、その書籍は人々に読まれているだろうか?

そんな観点から僕はいつも繰り返し精読すべき本をセレクトしている。

ひとつだけ簡単に見分ける方法がある。それは何百年、何千年の時を経て、現在も人々に読まれている古典は何百年先、何千年先の世界においても人々に読まれているだろうという未来予測である。

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2005 年 12 月 29 日 : 5・7・5・7・7

短歌とは五・七・五・七・七の五句体の歌である。7 世紀後半から 8 世紀後半に編まれた『万葉集』に始まり、今もなお詠まれている、古来から続く日本の伝統文化である。

わずか 31 文字で構成される歌なのだけども、一文字一文字を組み合わせれば星の数ほど無限のバリエーションが出来上がってしまう。

大半は当たり前のように淘汰される平凡な歌かもしれない。でも『万葉集』『古今和歌集』『新古今和歌集』といった著名な和歌集の中のひとつの歌として、何百年、何千年にも後世に残るものもある。それは新奇さやザンシンさも内包していた。

こんな風に短歌を眺めていると、仕事のスタンスやアプローチにも変化が現れてくる。

ひとつは小金になる平凡な仕事をたくさんこなして儲かるけれども、未来の歴史には何も残らないやり方。もうひとつは、短歌の例で言えば、五・七・五・七・七の 31 文字にすべての生涯を捧げ、永遠の一句を残そうとするやり方。

両極端な例であるが、僕は後者の生き方を目指したいと考えている。有限の時間軸上での仕事の集積は有限でしかないが、無限の生命を持ち得る作品は無限の時間軸上であれば、一時の数は少なくても無限の時間で集積すると必ず無限大になる。

自分が生きている間だけでなく、ずっと永遠に続く何かを創造できればそれに勝るものは無いのではないだろうか。

『永遠の何か』を創造するためには大切なことって何だろうか?

最近、この問題について自問する日々が続く。

飽きなくて、品が良く、質も良い。

こんな条件を満足する作品が創造できればと願っている。そのためには、短歌の作者がたった 31 文字のひとつの歌に情熱を傾ける姿勢がヒントになるだろう。駄作を量産するよりも、ひとつの仕事でもいい。何度も何度も見直して日々改善を図り、最高傑作を世に送り出せるようなアプローチを継続したい。

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2005 年 12 月 23 日 : 忘年会にて

先週、今年初めてにしておそらく最後の忘年会に参加した。滅多に足を踏み入れることのない居酒屋特有の雑沓の中で少々落ち着かなかったけれど、久々に旧友を暖めることができたのは良い事だった。

集まったのは大学時代の同期の 4 名である。僕以外の 3 名は会社の近くの大学で先生をしている。この日記を読んでたりするとか。それでグレン・グールドのピアノを聴いてるのを初めて知って関心してくれた。今のミュージックシーンの音楽も聴いてるのでそれも驚かれた。

彼らと難解(?)な数学や物理の理論的な勉強していた頃が懐かしい。

今では忘却の遥か彼方にある数学理論も、学生時代は人の 3 倍くらい勉強していたかな・・・。それだけに数学という学問の本質やセンスと言えるものが頭の中で健在であることを願う。

学生の頃、励んだ数学という学問をビジネスに活かすべく、ロジカルシンキングなベンチャー経営に臨んでいるつもりである。そういった面ではベンチャー起業家の中ではユニークな存在だろう。敢えてそれを強みに転換して道を拓けようとしている。

学生時代の同期の誰もが経験し得ないような崖っぷちに幾度となく立たされながらも、それらを乗り越えてきた 4 年間である。まだ磐石とは言えないまでも、過ぎ去りし創業の日々と比べるべくもない。

今は僕が主体的に経営するソフィア・クレイドルだが、5 年もすればきっと僕がいなくとも正常に経営が為されているに違いない。

その先に待つ未来に向かってどんな人生を切り拓けば良いだろうか?

旧友と会って、再びアカデミックな世界やアートの道に戻るのも個人的に理想とする生き方かもしれない・・・と感じた日だった。

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2005 年 12 月 18 日 : 蘇生

最近、"IT'S A WONDERFUL WORLD : MR. CHILDREN"に収録されている"蘇生"をよく聴く。

二車線の国道をまたぐように架かる虹を
自分のものにしようとして
カメラ向けた

光っていて大きくて
透けてる三色の虹に
ピントが上手く合わずに
やがて虹は消えた

胸を揺さぶる憧れや理想は
やっと手にした瞬間に その姿消すんだ

でも何度でも 何度でも
僕は生まれ変わって行く
そしていつか君と見た夢の続きを
  ・・・・・・・・・
何度でも 何度でも
僕は生まれ変わって行ける
そうだ まだやりかけの未来がある
(Lyric by 桜井和寿 2002)

この部分に妙にシンクロしてしまう。

ソフトウェア製品を研究開発し販売する事業を展開しているのだけれども、ソフトウェアというのは蘇生の繰り返しとも言える。ハイセンス、ハイクオリティを求めて、これまでに幾度となく製品を蘇生させてきた。

2005 年も例に漏れずそんな 1 年だった。

ほとんどの仕事は、現在ではなく 2006 年以降の未来への"夢"と"希望"を託した、過去のソフトウェアの蘇生そのものだった。

創業以来、製品は 3 回、ホームページは 5 回も繰り返し蘇生している。

ひとつだけ確かに言えるのは、蘇生の度にハイセンス或いはハイクオリティの方向に向かって飛躍している実感である。

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2005 年 12 月 18 日 : ロングヒット

今から 2 年ほど前に、「BREWプログラミング」というページを創った。それからずっと、内容に変化はない。たった 1 ページのコンテンツなのだけれども、コンテンツをアップしてから毎月アクセス数は 2 年の時を経て今もなお増え続けその輝きを失っていない。

いわゆるロングヒットである。

Google にて、"BREW"と"プログラミング"で検索すると、いつも 1 位と 2 位にランキングされている。多くのお客様は Google 経由で訪れるのであろうが、ある意味においてこれはネットビジネスの妙味ではないだろうか。

僕たちにとっては過去の出来事に過ぎないんだけれども、それに価値を見出してくれる人はネットの空間に数え切れないくらい存在しているのだ。見知らぬ世界で、僕たちのコンテンツがオートマティックに人びとの価値創造に貢献していると言えるなら喜ばしいことである。

最近では、いつまでアクセス数が増え続けるのかということに関心を抱くと同時に、そんなページを創れるかどうかがネットの世界で生き残るための一種の秘訣ではないかと確信するようになった。

ソフィア・クレイドルのサイトで、「BREWプログラミング」以外にもアクセス数が伸ばしているページは多数ある。

それらのページに共通したポイントとは何なのか?

コンテンツそのものに価値があるというのは当然として、果てしなくひろがるネット空間において世界で初めてその情報を開示することが最も重要なポイントではないだろうか。

このようなアプローチを採る企業は稀な存在であるからこそ、その分野で一歩リードできるのだと信じて進んでゆきたい。

  

2005 年 12 月 12 日 : 創業の頃

最近まで、創業・ベンチャー国民フォーラムのサイトに掲載されていた記事です。サイト自体がなくなっているので、Googleにあるキャッシュから復活させました。( 2004 年 1 月の話)

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「携帯電話に特化したソフトウェア基礎技術で業界から高い評価」

起業のきっかけと研究開発スタイル

 私は、i モードが登場した 1999 年 2 月にテレビCMを見ながら、これは面白いと直感しました。その後ビジネスとしての可能性を模索し、2002 年 2 月に起業しました。

 最初は、大きなプログラムが携帯電話に収まるよう自動的に圧縮するソフトを開発しました。製品は大手のゲームメーカーを中心に売れ、iアプリなどの携帯電話用ゲームに導入されています。 さらに現在ではウインドウズのような機能を携帯電話に搭載した製品を開発し、販売しています。

 今のパソコンは、5 〜 10 年後には携帯電話のサイズに収まるようになると思います。パソコンのウインドウズ、ブラウザ、データベースなどの機能を携帯電話に搭載すれば、大きな市場が生まれます。

 顧客と相談しながら当社製品の機能を拡張していけば、想像できないことが起こると思います。当社では、われわれが考えるコンセプトを製品として実装し、まず先進的なものを好む顧客に使ってもらいます。そしてその顧客の意見やアイデアを製品のバージョンアップに反映しています。まず 1 社で採用してもらうことで実績を積み、その後 2 社、3 社と徐々に取り引きを広めていくのです。

必要な人材

 自分で高い目標をもてる人が、私の考えるいい人材です。さらに、1 人ではいい製品はできません。さまざまな考え方を 1 つの製品にするということがいい製品を生みます。自律的に物事を考えることができ、異なる発想をもつ人と上手にディスカッションし、1 つの作品をつくり上げる人が必要です。

 社員には、自分で考え、社員間で議論してさらに考えることを徹底させています。さまざまな書籍を読み、さまざまな人の意見を聞き、自分の意見をぶつけ合い議論する。その結果に基づき行動し、どのように物事が進むのか観察し、物事の原理原則を見い出してそれを製品化する。当社には、目先の利益を追うのではなく、10 〜 20 年先を見据えた長いスパンで物事を考える人に集まってもらっています。

 また、創業時は、私だけが正社員で残りはアルバイトでした。売り上げや利益を見ながら、昨年から一人ずつ正社員化していき、現在は、常勤役員 2 名、正社員 4 名、アルバイト 10 名の計 16 名でやっています。

 実際正社員として入社すると、自分が思っていたことと現実のギャップが激しいのです。アルバイトとして働いてもらい、本当に当社で働いて楽しいと思えば正社員になってもらえばいいと思います。大企業で働くことが合っていると思えば、そちらに進む。お互いにそうしたほうがいいと思います。

徹底したローコストオペレーション

 高度経済成長期の日本企業は、社員を増やし、利益を度外視し、売り上げ規模を拡大してきましたが、結果としてリストラを行いました。当社は規模ではなく、社員 1 人あたりの売り上げや利益を重視しています。

 また、市場を世界中と捉えているため、営業拠点を新たに東京に設置することは考えていません。ソフトはインターネットで配信できます。IT 技術を活用すれば、支店をつくる必要はありません。Web サイトを通じさまざまな問い合わせに応えることで、顧客と良い関係を維持しています。

 創業時は、机やいすなどの備品も中古で購入し、経理などの事務も社長の私が担当しています。製品販売も、広告をだすのではなく、新聞や業界のホームページにプレスリリースを掲載してもらうことを考えています。出張も極力押さえ、営業は電話、メール、Web サイトなどを活用しています。

 こうしたローコストオペレーションで売れなければ、世界中に広げる製品はできないと思います。訪問して製品を買ってもらうのではなく、製品そのものの良さを理解した上で、買ってもらうことが重要です。

起業を目指す方へ

 現在の事業環境は、私が起業時にイメージしていたとおりにはなっていません。厳しい現実があり、そこをいかにして乗り越えていくかが課題です。

 こうした時支えになるのが、「なぜ自分は起業したのか」と思い出すことと、「自分が思っていることは、絶対達成できる」と諦めないことです。

 私は、毎年成長し、その成長の度合いも年々大きくなっていくなど、自分も社員も成長が感じられる会社をつくっていきたいです。着実に実績を積み重ね経営基盤を固めた上で、携帯電話会社や携帯端末メーカーなど大手企業と提携し、われわれの技術を広めていきたいと思います。

 数値化できない品質やデザイン力を高めていけば、生産量の多さや低コストで攻勢をかけてくる中国や東南アジアにも対抗できます。自分の好きなことで結果を出し、さらに良い環境の中で仕事をし、より顧客にとって使い心地が良い製品をつくる。

 私は今の自分の実力の範囲内で事業を展開していくことが必要だと思います。ベンチャー企業は、4 〜 5 年以内に上場を目指すなど急成長のイメージがありますが、自分たちの能力以上のことをやると会社は潰れてしまいます。徐々に自分の能力や人格などを磨いていけば、自然と結果もついてくるのです。

2004 年 1 月

株式会社ソフィア・クレイドル
代表取締役社長
杉山和徳

1962年10月大阪市生まれ。外資系コンピュータメーカー、シンクタンク、ITベンチャーを経て、2002年2月に京都市にて携帯電話向けソフトの研究開発を事業目的とした株式会社ソフィア・クレイドルを創業。現在までに、携帯電話向けのプログラム圧縮、ユーザーインターフェース、ネット閲覧などのソフトウェア基礎技術で業界から高い評価を得ている。

※誤字脱字などの不適切な表現、数字の誤りは修正しました。

  

2005 年 12 月 10 日 : 時間+空間

「地球を手にとって眺めたい」というような発想は何百年も昔の人びとには有り得なかっただろう。

でも、科学技術が発展した現代に生きる人びとの中には、そんな願いを抱く人は数多くいる。古代と現代で、人びとの世界観は天と地ほど変化しているとも言える。

何がそうさせたのか?

それは飛行機であり、スペースシャトルであり、空や宇宙を高速で駆け抜けてゆく乗り物の発明ではないだろうか。

時折、大空を飛んでゆく飛行機を眺めはするものの、その可能性や意味について想像したり考えるのもたまにはいいものだ。

例えば、大阪から東京までの 500 〜 600 km の距離なら飛行機で 1 時間もあれば十分である。アバウトだけど人が歩く 100 倍のスピードである。逆に言えば、飛行機によって人の足は 100 倍になったという見方もできる。

飛行機の発明があって、人の移動距離の限界が 100 倍に延長され行動範囲が 100 倍に拡張されたということである。桁違いの能力の獲得は、人びとの生活や世界観を変革するものである。

同様に、コンピューターについてもそれは当てはまる事実である。コンピューターは人の頭脳の能力の限界を解き放ってくれるテクノロジーだと思う。そもそも人の頭脳にはムゲンの可能性があるだけに、コンピューターの果たす役割はさらに素敵なものにちがいないと確信してる。

飛行機以上に、人びとの世界観を変革するツールとしてのコンピューターの未来は永遠に果てしなくひろがっている。

  
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