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2004 年 12 月 07 日 : 風を感じる日

ヨーロッパの IT 企業の幹部の方が来社された。ソフィア・クレイドルのソフトウェアテクノロジーに関心があったらしい。興味深い話もあった。

今、ヨーロッパでは携帯 Java や BREW のモバイルアプリケーションのマーケットが急拡大しているらしい。日本より勢いがあるかもしれない。

ハードウェアの急激な進歩に伴い、携帯電話でも、3D を駆使した高度なゲームなどが当たり前のようになってきた。

ゲーム専用機が辿っていった道筋に沿って進んでいるのだろうか。携帯電話のゲームもプレイステーションのようなものに進化していきそうだ。

ソフィア・クレイドルの研究開発しているソフトウェアテクノロジーに対するニーズも、以前よりも強くなってきている。ハードウェアとソフトウェアは車の両輪である。素晴らしい携帯アプリを制作するにはバランス感覚が大きくものをいう。

近年の目まぐるしいばかりの携帯電話のハードウェアの進歩は、追い風であり、チャンスでもある。

米国、中国、韓国など世界中の国々から、評価版提供申し込みなどの問合せ件数が、時間の経過と共に増えている。商品の操作画面、マニュアルなどが英文化されていない。海外のお客様を待たせしている状態である。

携帯 Java 専用アプリ圧縮ツール SophiaCompress(Java) に対するニーズは確かに感じとれる。世界マーケットを見渡しても、SophiaCompress(Java) には類似製品はほとんど無く、圧縮性能は世界でも最高水準である。(競合がないからという話もある)

そろそろ世界デビューのタイミングなのかもしれない。

NTT ドコモの i モードの海外市場は、国内の 10 分の 1 しかない。しかし、携帯電話向け Java や BREW のマーケットに関しては、海外は国内の 10 倍以上と桁違いに大きい。

こういう事情もあって、まずは SophiaCompress(Java) から海外マーケットへの取り組みに着手しようと考えた。

SophiaCompress(Java) に関する研究開発一筋の、いまやソフィア・クレイドルを代表するプログラマー( 23 才)に海外対応を依頼した。若くても世界の仕事ができる。ベンチャーで働く特筆すべきメリットである。

大企業の場合、特別選抜されたごく少数の幹部候補でも無い限り、20 代の頃は下積み時代となる。若い頃はなかなかビッグチャンスというものは巡って来ないものだ。

20 代前半で世界に挑戦できるということは、その後の人生に大きな影響を及ぼすだろう。ベストオブベストの結果を見出せるように、全力を尽くすつもり。ちょっとした成功体験の積み重ねが、掛け替えのない自信へと繋がってゆくのだから。

来年は動きのある一年になりそうな予感がする。

  

2004 年 12 月 04 日 : The long and winding road

スタッフが得意なこと、好きなことを仕事とし、いきいきと楽しく過ごすために、経営者が進むべき道や果たすべき役割とは何だろうか?

単純なことだけど、お客様の新しい満足を創造し、それに見合う収益を得ること。スタッフや会社が未来に向かって創造的に成長してゆく、というビジネスのかたち(即ちビジネスモデル)を確立することではないだろうか。得意なこと、好きなことだけしても収入がなければ、人は生きることができない。

それが現実の世界だから。

ビジネスモデルを構築するにあたっては、どんな仕組みでいけば、よりたくさん収益が得られるのかという視点が重要である。ゲーム感覚で、より多くの得点をとるために、どんな作戦でゲームを進めるのがベストだろうかと考えるのと同じ。そういう思考ができれば、ビジネスも楽しみながらやれる。マーケティング・スタッフには「ゲーム感覚で楽しんで!」といつもアドバイスしている。

世の中の役にたち、それだけたくさんの収益がでるビジネスであれば、その収益をスタッフや株主に還元できる。将来のために、更なる新規研究開発事業に投資することもできる。社員を含め、会社全体が大きく発展してゆく可能性が無限に拓ける。

どんなビジネスモデルを創れば、永続的にたくさん儲かるのか?

これこそ経営者が常日頃から真剣に考えるべき最重要課題だ。これによって、お客様を始め、スタッフ、株主、全ての関係者に報いることができるから。

携帯電話に組込まれるソフトウェアを、研究開発しマーケティングする事業を展開している。事業を創めるにあたって、自社のビジネスモデルを創るのに、参考としたのが、世界中に携帯電話機向けに電子部品を製造し販売して儲かっている企業のビジネスモデルである。

実は、ソフィア・クレイドルが位置する、この京都という地には、付加価値の高い携帯電話向けに電子部品を製造して、世界に販売し、しかもシェアがダントツで世界ナンバー 1 の企業が多く存在する。たとえば、京セラ日本電産ロームなどである。これらの企業は、完成品である携帯電話を製造している企業よりもずっと成功している。

こういう会社の事例を深く研究した結果、手っ取り早くアプリケーション開発案件を受託して日銭を稼ぐよりも、世界のあらゆる携帯電話向けアプリに利用できて、他では得がたい高度なソフトウェアテクノロジーを研究開発し、世界に向けてマーケティングすることこそが、選ぶべき選択肢であると確信した。

当時、携帯電話のソフトウェア業界でそのようなビジネスをしている会社は存在しなかった。ビジネスを展開するには、ゴールまでに長い曲がりくねった道のりが待ち構えていた。

ゴールに辿り着くには独創的な発想が要求された。まだ到達したわけでない。最初の着地点を目指して一歩一歩進んでいるところだ。

創業の時に、ビジネスチャンスを見出した米国クアルコム社BREWにはエクステンションというビジネスモデルがあった。そのモデルでは半製品であるソフトウェアモジュール(アプリケーションの部品のようなもの)を、世界の携帯電話通信事業者(キャリア)の無線ネットワーク(専門用語では OTA ともいう。Over-The-Air の略だ。)に乗せて販売することが可能であった。このようなこともあって、私たちは米国クアルコム社の BREW というプラットフォームを迷わず選択した。

まだ BREW のエクステンションの形式になっていない。今月末に完成する。ユーザーインターフェースデータベース通信ネットワークデータ圧縮などのソフトウェアモジュールを、世界の携帯電話に向けて OTA 配信できる日は近い。

早ければ来年から、そのビジネスモデルで事業を展開することになる。先ずは日本からであるが、2006 年以降はこのビジネスを全世界に展開することになるだろう。

世界の携帯電話通信事業者のサーバーに、ソフィア・クレイドルのソフトウェアを登録し、携帯電話の電波に乗せて、世界に何十億台と存在する携帯電話全てに向けてそれを OTA 配信することになるのだ。しかも、美しい素晴らしいソフトウェアを。

成功するための最も重要なキーは品質( Quality )である、と考えている。

世界の人々に、喜んで利用してもらえるためには、400 年余りにわたって世界の人々に親しまれてきたような、モーツアルトの音楽に匹敵するような、何かが求められると思っている。

心地よさや安らぎ、美しさ、ワクワクドキドキ感、調和、カッコ良さ …

突出した Quality に共通する何かが重要である。

  

2004 年 12 月 01 日 : 世界へ、京都の一角から

多くの人が年を重ねると共に、安易な方向へと、ついつい妥協し、自分の夢というものを忘れゆくように思える。

子供のころ、皆さんはどんな夢を持っていただろうか?

世界の頂点を極めたいという願望を、一貫して持ち続けている。それによって失うものも多々あったかもしれない。しかし、生きる中で、最も大切なことは人生における目標、即ち夢の実現ではないだろうか。生活するのは人生の目的ではないだろう。

いま"ソフィア・クレイドル"というチームで同じ夢を共有するスタッフたちと、この上なく楽しく愉快に、刺激的な日々を過ごしている。

世界を変える、革新的なソフトウェアテクノロジーを研究開発して、人びとに提供し期待を遥かに超える満足感や驚きを与える。それがいまの夢だ。

製品を研究開発しているスタッフは、履歴書の趣味とか特技の欄に「コンピューター」あるいは「プログラミング」と記入するような人たちだ。子供のころから、コンピューターやマシンが大好きでプログラミングが楽しみで、今ではそういう仕事をしている。

そんな風に過ごしているので、"プロフェッショナル"という意味では、我々の夢のスタイルは、プロのスポーツ選手やアーティスト、ミュージシャンと同じだと思う。

人々がソフィア・クレイドルのソフトウェアに満足し感動した瞬間、達成感や生きる歓び、自己実現を実感する、ということである。

たくさんの人々から喜ばれるほうが、そんな自己達成感をより多く感じるだろう。だから、最初から、世界に通用する最高傑作といえるソフトウェアを開発したい。世界中の人々に届けたい。

近年、イチロー松井秀喜中田英寿など日本人選手が世界の檜舞台で活躍している。いまや彼らの名前そのものがブランドにまでなっている。

ソフトウェアという分野で、同じように活躍できる可能性はゼロではない。何事も先ずは思いから始まる。思いを潜在意識のレベルにまで昇華させる。だから、取り組む作品にも魂が入り、真の意味で超一流といえるアウトプットが生まれる、と信じている。

周りを見ていてつくづく思う。何ごとにおいても最初から諦めている人が多い。一般的にアタマがいいといわれている人ほどその傾向が強い。ものすごくもったいない。思いは実現する、為せば成るとはよくいうが、これは正しく真理である。

世界に向けて、オリジナルブランドを自らの手で創っていく過程において、苦しい時も確かにある。が、それを埋め合わせて余りある、遣り甲斐とか自己実現というものがあるのも事実だ。

いまは東京から離れた京都という地で仕事をしている。多分、ずっとそうなると思う。

何故、京都なのですか?と時々尋ねられる。一方、京都はブランドでもあるようで、京都という歴史のある地の利を活かして仕事をしていることを、すっと受け止めてもらえることもある。わざわざ、遠方からお越しくださるお客様も多くいらっしゃる。最近では海外からのお客様を迎える日もある。

  

2004 年 11 月 23 日 : トップ 1% のルール

ソフィア・クレイドルは、輝かしき未来のあるプロフェッショナルな若き異能集団だ。

プログラミング、システム管理、デザイン、コピーライティング、マーケティング等々について、社長である私が尊敬できる素質を持つ人たちだけで構成されている。

有能な人材を採用するために心がけているポリシーについてまとめてみる。

会社の未来はスタッフの働きによって築かれてゆく。だから、ベンチャーの場合、人材採用とは社長が最も力を入れるべき仕事だ。真剣勝負そのものだ。

「原因」があるから「結果」がある。紆余曲折はあった。持てる才能を遺憾なく発揮する人材を採用できる理由を多少なりとも蓄積できた。

いくつもの失敗をし、そこから学んで人は成長する。

人材採用を誤ると、ダメージは後遺症となって残る。

もはや過ぎ去りし日々のことだが。ネコの手も借りたいくらい忙しい時期に、不適切な人材を採用した。苦い経験をし、自らの身体で人材採用の大切さについて多くを学んできた。

「まとも」な人材ほど、会社の経営理念、事業内容などを知ってから応募しようとするものだ。だから、受け入れる側の会社もインターネットなどを活用し、まず第一に自社のことをありのままに分かりやすくアピールする必要がある。自社に合った適材を得るために。

「ソフィア・クレイドル」という会社を、1000 人で年商 100 億円ではなく、10 人で年商 100 億円を達成する企業にしたい。社員数が 100 名ならば、年商 1000 億円。そんな会社にしたい。

決して社員数は誇らない。目指すのは、1 人当たりのパフォーマンスを重視した経営を理想とする会社。

1 人 1 人のスタッフが普通の会社の 100 倍のパフォーマンスで働く。そんな逸材を求めて採用活動をしている。

近い将来、大リーガーのイチロー選手松井秀喜選手のように年収数億円を稼ぐ、まさしくプロフェッショナルなスーパースターがスタッフの中から出てくるだろう。

スポーツや音楽などの業界では当然であるようなプロフェッショナリティを追求することこそが、ソフトウェアビジネスの世界で生き残るための条件、常識となろう。

人を採用するときは、次の2つの質問をしてみるとよい。

1. その人と一緒に仕事をしたいのか?

2. その人に能力や才能(の萌芽)はあるのか?

1 番目の質問は、経営理念に合う人材かどうかを見極めるための問い。

2 番目の質問は、各分野においての、現在でなくとも将来的なプロフェッショナリティを推し量るための問い。

ソフィア・クレイドルでは、この 2 つの質問について、主観的な評価ではあるが、トップ 1 %以内の人材なら採用するという基本方針でやっている。簡単に言えば、100 人の応募に対して 1 人のペースで採用するということだ。

何故このような考え方が大切なのか?

全体を 100 として、そのうちの 80 を上位 20% のセールスマンが売り上げるというのがパレートの法則( 80 : 20 の法則 )だ。パレートの法則をこの上位 20% のセールスマンに適用すれば、上位 4% のセールスマンが全体の 64% を売り上げているということになる。

さらにパレートの法則をこの上位 4% のセールスマンに適用すると、上位 0.8% のセールスマンが全体の 51.2% を売り上げるということに帰結する。

単純にいえば、100 人の中で 1 番目の人材というのは 50 人分の働きをしてくれるわけだ。50 人分の仕事が 1 人で済むのだから、オフィススペースも 50 分の 1 でよい。なにより、厄介な労務管理に悩まされることが激減する。

だから、ソフィア・クレイドルは「トップ 1% のルール」を貫くのだ。

  

2004 年 11 月 21 日 : 売上をあげる

ソフィア・クレイドルの営業年度は毎年 10 月に始まる。今年度は第 4 期営業年度。

期が始まってまだ 2 ヶ月も経っていない。会計ソフトで残高試算表の数字をみてみると、前期と比較した、10 月から 11 月までの累積売上高の増減率の数字が 7000 %を超えていた。第 4 期は幸先の良いスタートをきることができた。できればペースを維持したい。

事業規模を大きく拡大したわけではない。1 年前と比較して、社員数は減っている。創業以来、経常の黒字は死守してきた。裏を返せば、それだけ第 3 期の前半までは営業面で苦戦を強いられる局面が多かった。

2004 年春から、製品販売に関して、研究開発部を含め、全員が一丸となって努力してきた。徐々に効果が具体的な数字となって現れてきたのであろうか。

類似製品は基本的には世界市場に存在しない。今、世界マーケットに競合製品は存在しないのだ。

創業の頃、「ソフィア・クレイドル」という社名も知られているわけではなかった。だから、お客様の立場からすると、「ホントに大丈夫なの!?」という印象が強かったと思う。起業家の方々には、ベンチャーが製品を販売する難しさをご理解いただけると思う。最初は想像を絶するくらい難しい。

ちょっと余談だが、創業の頃にお世話になったお客様ほど、爆発的に売上と利益を伸ばされている。なかには 3 年前は未上場企業だったのに、今では東証一部に上場されているお客様もいらっしゃる。

創業初年度にお世話になったお客様はいくら感謝の意を表しても表現しつくせないくらい、有難かった。お世話になっているお客様とは、これからも継続して良き関係を保ちたい。

大企業でサラリーマンをしていた頃は、「ブランド」が余りにも偉大だった。「ブランド力」を後光として営業成績を簡単に大きく伸ばすことができた。一旦会社を辞めてしまえば、もはや「ブランド」は使えない。これは大企業のサラリーマンが会社を辞めて起業したときに、誰もが経験する最初の辛くもあり厳しい大きな難関、現実なのだ。

ベンチャーというものはスタッフの総合した実力が全てな訳だ。自己の能力の限界にチャレンジしてみたい、或いは自分の真の実力を知りたいと思う人にとって、ベンチャーほどそれが単純明快に理解できる場は他に無い。

拙い経験からいえることは、大企業の場合、どうしても自分以外の他律的な要素が働き、それが実績となって現れていることが往々にしてある。大抵の人はそれが自分の実力であると錯覚する。

大企業に在籍している時はどうしても自己の能力を過信してしまうきらいがある。現実は、単に製品に「ブランド力」があるから売れているにすぎない。それに気付かずに起業すると大苦戦も甚だしい結果となる。

売上を安定させ、ぐんぐん伸ばすためには、ベンチャーといえども、大企業のような「ブランド力」をどうやって築くかが最大のテーマになると考えた。まだまだソフィア・クレイドルのブランド力は弱い。が、努力すること、思うことの強さで如何様にもできる。

ブランド力そのものが会社の生命線になると考えて、マーケティング部を中心に「ブランド」について勉強し、毎日実践を繰り返している。少しでもいいから着実にブランド力を向上させようとしている。年齢が若く、経験の浅い社員ばかりだが、あくなき努力と若さでカバーしようとしている。

一年前までは、会社として、営業は個人の能力や才能に頼る面が大きかったと思う。営業担当が保険会社や自動車会社のトップセールス並に売上をあげていたのであれば、何の問題意識を持つこともなく素通りし、あとでもっと大きな取り返しのつかない壁にぶつかっていたかもしれない。

「人間万事塞翁が馬」である。不幸中の幸いかもしれないが、ソフィア・クレイドルにトップセールスはいなかった。全員で真の意味で営業力やマーケティング力を強化するために真剣に取り組む機会をたくさん得ることができた。

マーケティング部を核にして全員がチームとなって、どうやって研究開発部が創った素晴らしい製品を、人びとに届けるかについて、研究を積み重ねている。

営業は人的な要素に頼るところがある。しかし、それに頼って組織を構成すれば、トップセールスが会社を辞めれば売上がガタ落ちとなり、下手をすれば倒産ということも十分あり得る話だ。

最も注力したことは、誰が営業であろうと(ソフィア・クレイドルでは「マーケティング」と呼んでいる)、最低必要な売上の数字は確実に楽々叩き出せるような販売システムを構築することだった。ヒントはサラリーマン時代に遡る。

大企業でサラリーマンをしていた頃、どちらも有名大企業であるが、大手清涼飲料水メーカーや大手通販会社をクライアントにして、マーケティングシステムのコンサルテーションや情報システムを構築するプロジェクトを経験した。プロジェクトマネージャーとして仕事をさせていただいた。全貌がよく分かり、数多くの価値のある商売のヒントを得ることができた。

どちらの企業にも共通に言えたのは、誰が注文を受けるにしても自然に売上が上がるような仕組みになっていたということ。

例えば、清涼飲料水メーカーの場合、街角でよく見かける自動販売機に関していえば、販売員はこの機械にジュースやコーヒーを詰め込むだけで売上が上がっていく。優秀な自販機は一年間で軽く 1000 万円を超えるセールスを記録した。下手すれば年間売上 1000 万円ですら達成できない営業マンは五万といるだろう。それをたった 1 台の自販機が自動的に、オートマティックに、この上なく美しい数字として弾き出してくれる。

事業を大きく伸ばすには、将来的にそのようなビジネスの仕組みをシステムとして実現する必然性がある。いきなり、そこまではは不可能であるが、ステップ・バイ・ステップでそのゴールに辿り着けるように創意工夫を重ねている。

この一年間でやったことを簡単に列挙してみる。

1. IT media mobile への寄稿:" BREW プログラミング入門"

2. 独自の BREW に関するノウハウの無償公開

3. SEO 対策の実施

4. Web の製品情報の充実

5. 無料評価版ダウンロードサイトの開設

6. 英語サイトの開設

7. 業務プロセスのマニュアル化

いま、このような努力は現在進行中であり、必ずしも完成しているわけでない。理想とする最終形からいえば、ほんの 5% 程度の完成度でしかない。創意工夫、改善、改良の余地はまだまだたくさんある。個人の才能や能力に依存しない販売システムをできるだけ早く理想形にもってゆきたい。

  

2004 年 11 月 20 日 : 人材を発掘する

プロフェッショナルな世界ほど「エース」の存在感というものは偉大だ。たとえば、松井秀喜選手にしても、大リーグ・ヤンキースに移籍した後の巨人は大きくスケールダウンしたと思う。

プロの世界では、人材発掘というこの重大な仕事を決して他社にアウトソーシングしていない。専業のスカウトが年中無休で有望な新人を求めて日本全国を駆け回っている。

会社経営においてもプロを目指すのであれば、プロ野球の球団や芸能事務所が自前で血眼になって人材を発掘するように、社長自らが先頭にたって会社経営の最優先課題と位置づけて行動することが肝心だ。

ソフトウェアを生業とする会社では、スタープログラマーの存在そのものによって、ビジネスの死命が決してしまうといっても過言ではない。プログラミングの天性、素質、才能に溢れんばかりの人材発掘に最も力を入れている。

人材紹介会社を使って人材を採用するという発想はほとんど無い。自社にとって有能な人材を世界中からスカウトするための専門部隊を創りたいほどだ。

エースが 1 人いるだけでも心強い。2 人、3 人と次第に増えることによって、会社というものは業績が心地よい指数関数曲線の軌跡を描いてゆく。

ベンチャーは、周りの環境に左右され、吹けば飛ぶような存在である。経営的に安定させるためにこのような手を打つことのプライオリティは極めて高い。それによって、いち早くベンチャーの域を脱することができるのだ。

有能な人材の発掘で心がけていることをまとめる。

肝心要なことは何か。

それは、向いているからこそ持てる才能を遺憾なく発揮するだろう人材を探すということだ。適材適所を究極なレベルにまで追い求めるということが理想だ。

ソフィア・クレイドルは、世界広しといえどもオンリーワン、しかもナンバーワンなものだけを創り、世界に提供することによって、人びとに感謝され、仕事の楽しみ、喜び、そして生き甲斐を見出そうとしている会社だ。適材を得るために、独創性や創造性といったような才能が他より抜きん出た人材を採用する努力を肝に銘じている。

独創性や創造性に秀でた人は、学校の成績でバラつきがあることが多い。成績がオール 5 というような優等生にはそのような人材は少ない。

例えば、数学はいつも 100 点満点だけど、関心の薄い国語や社会なんかでは 20 〜 30 点というような偏りがある人のことである。実際のところ、彼は、数学に 100 点以上の成績があるとするなら、500 点でも簡単に獲ってしまう。

活躍している人は、優等生タイプというよりは、偏ってはいるがユニークで貴重な才能を有するタイプだ。

求める人材の国籍を日本に限定していない。現在、ソフィア・クレイドルでは日本人以外にルーマニア人、中国人が働いている。海外にも有能な人材は確かにいる。

彼らは日本の教育を受けてきている訳ではないので、"一流大学⇒一流企業"のコースだけが成功のパターンでないことがよく分かっている。有望な人材を採用する意味においてはこれからはこのような海外の人材と共に仕事をし、成功を分かち合うことも重要な経営戦略となろう。

必然的に英語で話す機会も増える。日本語だけでなく、英語を使うこと、異なった文化を知ることで普段使っていない脳のシナプスが活性化され、「創る」という才能が育まれるのではないだろうか。

  

2004 年 11 月 19 日 : 売れる商品を創る

誰もが会社設立に必要な資本金を準備し、決められた手順で処理さえすれば、代表取締役社長という地位に就くことができる。けれども、この状態を永続させることは至難の業である。ほとんどの会社は設立数年後に消え去っている。なぜ消滅してしまうのか?理由は簡単である。サービスや商品が売れないから資金が底を尽き、倒産もしくは廃業に至るのだ。

末永く存続するような会社を設立しようとすれば、どうやって売れる商品やサービスを創るのか?システムを予め真剣に考えておくべきだろう。

創造力や個性を伸ばすような教育が全くといってよいほどなされていない。そのため、新たなるものを創る、ユニークなものを考案するのが苦手な人が多い。ワクワク、ドキドキするような何か面白そうなことを創造する経験や習慣になかなか巡り合えない。

何も考えずに起業すれば、苦戦が予想される。自分自身の創造性を養うような努力をすると成功する道は一気に拓ける。

売れる商品が必然的に生まれる方法論はないだろうか考えることが多かった。何故なら会社が自ずと存続する結果に繋がるからだ。

「原因」があるから「結果」がある。商品が売れる「原因」を見つけることができれば良い。

ソフィア・クレイドルは携帯アプリに必要なソフトウェアテクノロジーを提供する会社である。日本人の誰もが知っているような有名な携帯ゲーム着メロなどでも利用されている。

最近、コンテンツ以外に携帯電話向けの地図やグループウェア、金融決済、認証などのような生活やビジネスに密着した携帯アプリにも応用されている。

無意識のうちにコンピューターが生活の中で使われている状態を指して、ユビキタスコンピューティングという。ソフィア・クレイドルはユビキタスコンピューティングを現実としている会社なのである。

過去があって、現在があり、そして未来がある。未来は過去から現在へと続く軌跡の延長線上にあるといえる。現在の傾きと与えられた初期値から微分方程式を解くことで未来を予測しようとする発想は「売れる商品を創る」ためには大切だ。

手掛ける事業は携帯電話のソフトウェアテクノロジーである。売れる商品を探し出すために、先ず最初に考えたのは携帯電話で最も使う、或いは使われてきたアプリケーションは何かということ。パレートの法則の応用である。経営資源に限りがあるベンチャーにとって、この法則の重要性、偉大さは語り尽くせない。

ダントツに最もよく活用されている携帯アプリは「電話帳」である。「電話帳」というアプリケーションは未来も確実に存続する。その過程で生物のように進化が起こるであろう。どのような進化を辿るのかというイメージに、ビジネスチャンスが隠されている。

何事もそうかもしれないが、進化した携帯電話の未来を的確に予測する上で、似たような他の分野の歴史や事実を研究することはヒントになる。今後十年で、半導体集積技術や無線通信技術の革新により、パソコンも携帯電話に収まるサイズになると予測した。そこから、学べることは現在パソコンにあるようなアプリケーションを携帯電話向けに変形させることが確実なビジネスになるのではないかということだ。

携帯電話の場合、未来の電話帳は、パソコンでいえば、インスタントメッセンジャーのようなものに発展し、単に、電話番号を記録するだけでなく、相手の状態が分かり、メールや電話、メッセンジャー、ブログなど様々な手段で適切にコミュニケーションがとれるようになるだろう。

2002 年 2 月の創業と同時に、未来の電話帳の研究開発プロジェクトをスタートさせた。研究開発型ベンチャーでよく押さえておかないといけないことは研究開発資金をどうやって捻出するかだ。

ベンチャーキャピタルなどの外部の投資家のようなものに頼ることも一つの方法だろう。しかし、できれば自前でやりくりする方が良いと思った。なぜなら、株式公開のような余計なことを一切意識せずに、研究開発をマイペースで進めることができるからだ。独創的な研究開発を成功させるためには「マイペースでやれる環境」はものすごく重要だ。主観的には確実に成功すると信じているのだから、その方が想像を絶するくらい努力した社員らに大きく報いることも資本政策上とりやすい。社員の年齢構成も 19 〜 26 歳と若いので、何も急いで焦って株式公開でなくとも良いと考えた。

研究開発資金を捻出する際に思いついたアイデアがある。未来の電話帳なるものを構成するために必須となる要素技術を商品化し、販売するというアイデアだ。創業当時は携帯電話のアプリケーション開発環境は、コロンブスがアメリカ大陸を発見したときのように、全くの未開拓地帯だった。当時はどんなものでも創れば商品になりうるチャンスがあった。

最初に手掛けたのが、携帯電話向けのプログラム圧縮技術。大学生の頃、Z80 という CPU が搭載されたマイコン用のプログラムの構造を解析して、そのプログラムを変換し小さくする仕事で、お客さまから大変感謝され、儲けたことがあった。もう 20 年近く前の話だ。その当時のマイコン(今で言うパソコン)は主記憶が 64 キロバイトしかなくメモリの制約は大きな問題だった。その時の問題が携帯電話でも発生していたのである。

不思議なことに、携帯電話向けにこの問題に取り組んで製品化までしている会社は世界中どこを探しても無かった。今は携帯電話だけかもしれないが、将来的には情報家電も含め、膨大なチャンスがあると確信し、このソフトウェア技術を研究開発し、製品化した。競合製品が無いため、比較的順調に、大手ゲーム会社、大手コンテンツプロバイダ、大手電機メーカーなどに導入が進んでいる。勿論、このソフトウェア技術も世界中で利用可能なように開発した。現在、国内市場だけの販売である。世界市場進出に向けて、これから先が楽しみだ。

その他にも、これと同じような発想で、携帯電話向けにパソコンで言えば、Windows のようなもの、アプリケーション開発ライブラリのようなものも研究開発し、製品化している。競合が全く存在しないため、市場開拓は自力でやらざるを得ず、とても大変ではあるが、お蔭様で時間の経過と共に売上もぐんぐんと伸びている。

  
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