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2006 年 01 月 12 日 : 象牙の塔

いつの間にかベンチャーを立ち上げて、何か新しくて世の中に役立つものはないかと探し求める日々が続く。

昔は大学みたいな研究機関で、研究者として一生を過ごす選択肢を目指したこともあったのだが …

分岐点がいつだったのかはっきりと答えることは叶わない。けれども、ひとつだけ確かなことは、僕にとって大学は象牙の塔だった、ということである。

何となく現実社会から遊離していて、ひとつの研究に人生を捧げたとしても、真に社会に貢献できるだけのアウトプットを創造しえるか疑問だった。

いまから思えば大学へ通う必要も無かったのかもしれない。でも、今日あるのは、大学で様々なことを学んだ礎があるからだろうということで肯定的に考えている。

日本では中学から大学に至るまでの長きに渡って英語教育がなされる。けれど、それだけで英語が完璧に話せる人に出会ったことはこれまでに一人もいない。

実際に生活で英語を使うためには、必然的に英語が使われる場に身を置くのが最も効率的であり、効果的でもある。

大学で学んだり研究している学問もそれに似ているのではないか。

大学の中だけに閉じるのではなく、実際に大学で学んだり、研究している内容を現実の社会で実践的に試すというアプローチが必要であると思う。

僕が経営するソフィア・クレイドルというベンチャーは、そんな大学のアカデミックな雰囲気を併せ持った企業というのを理想にしている。

常に新しい発想で何かを創造し、実践し、真に世の中で使われるものをかたちにしたいと願っている。

  

2006 年 01 月 04 日 : アーキテクチャ

日本語で「設計思想」と表現される、「アーキテクチャ」の重要性は言葉では語り尽くせない。

ただひとつ確かに言えることがある。それは確固たる「アーキテクチャ」を持つものはライフサイクルが長く、ロングレンジに渡って発展し続けるという事実であろうか。

例えば、Microsoft の場合。1981 年にリリースされたMS-DOS の上で動く Windows が 1985 年に初めて登場した。その上で動作するアプリケーション Office は Windows のキラーアプリケーションとして、Windows の普及に一役買った。今日、Windows は最も普及している PC 向けオペレーティングシステムとしての地位を築き上げた。

また、依然として現在の Intel の CPU も 1980 年代前半のマイクロプロセッサ 8086 のアーキテクチャの流れを踏襲したものである。

IBM にしても、1964 年に発表した Sysytem / 360 のアーキテクチャの流れを組むコンピューターがいまもなお利用されている。ORACLE のデータベースを扱う言語は今も SQL である。

IT 業界において、普遍性のある「アーキテクチャ」を発見し、それを世界初の製品レベルにまで仕上げ、マーケティングに首尾良く成功することができれば、その後に控える航路は穏やかなものとなるだろう。

ソフィア・クレイドルでも、創業期における最も重要なテーマとして掲げているのは、組込みソフト業界において欠かすことのできない「アーキテクチャ」である。

それを確実に見出すためのヒントはどこに隠れているのか?ということから事業を創めた。

最も重大な問題は、いつまでも膨らみ続けるソフトウェア開発ニーズにどうやって対処すべきか?ということ。それから、ハードウェア資源は限られた中で、どうやって小さくてしかも速いソフトウェアを開発すれば良いか?という問題であった。

そのためのソリューションとして、そんなソフトウェアが開発できる、プログラミング言語、データーベース、圧縮ツール、プロファイラーなどの開発環境を「統一されたアーキテクチャ」の下で研究開発している。

  

2006 年 01 月 01 日 : 必要なこと

東証一部に上場しているなかでも、年商 1 兆円を超える巨大企業が 21 世紀という新しい時代をどのように変革し、乗り越えてゆくのか、経営者として興味が尽きない。

大抵の企業は営業利益が 10 % あれば優良企業である。20 % もあれば超優良企業と称されて世間から絶賛される。

いま考えるべきは、 1 人当たりに換算した場合、いろんな数字はどうなのかということだと思う。

話を簡単にするために、企業のすべての費用を社員数で割った 1 人当たりの費用が 1000 万円であったとする。この時、大雑把ではあるが営業利益 10 % をあげるためには、1 人の社員が平均 1100 万円の売上をあげれば良いことになる。

大企業であればあるほど、ノルマともいえる 1100 万円の売上をあげた時点で、数字に満足しそれ以上の努力を怠る傾向が強いのではないかと思う。これが巨大化した組織の致命的な弱点ではないだろうか。

ベンチャーはそんな隙間にチャンスを見出して、新しいビジネスを創造できる点に特色があるといえるだろう。

ソフトウェアビジネスの場合、原価は無きものに等しいので、1 人当たりの売上が 2000 万円になっても経費は 1000 万円と見なせる。営業利益の観点から言えば、売上は従来の巨大企業の 2 倍に過ぎないけれども利益は 10 倍なのである。

販売チャネルをネットとコンピューターで自動化し、世界から受注できるシステムを構築し正しく運用すれば 1 人当たりの売上に物理的な限界は無くなる。

この種のビジネスを成功させるためのコンセプトとは何か?ということについてよく考える。

僕の結論はこうだ。

ネット上における「集客」、「サイトのデザインとコンテンツ」、「ソフトウェア製品」、「アフターフォロー」について、世界の同業のどのサイトよりも少しでも良いから抜きん出ている必要があるということだ。

そのためには、Web や 製品、お客様への対応に関して、人間の限界と言えるところまで全力を出し尽くして、駄目押しのようなもう一手が要求されるのではないか。

マラソンレースの 35 キロ地点以降、最後の力を振り絞ったものだけが栄光のゴールを駆け抜けるということが成功の要因になると思っている。

それでは、何故、マラソンのゴールドメダリストが、あんなにも苦しい思いをしてまでレースに参戦し見事栄冠を勝ち取れるのかという解答の中に、ある種のヒントを見出せるのではないだろうか。

自分の得意なジャンルで、好きだからそれをしているというのが、最もシンプルで重要な真理だと思う。

そういう感じで仕事ができるかどうかが偉大な成果を生み出すための分岐点となるだろう。

  

2005 年 12 月 29 日 : 感動創造

最近、「感動創造」というキーワードが 21 世紀型ビジネスモデルのコンセプトメイキングにおいて重要な役割を果たすと聴く。

これについての僕の解釈は「どうすれば人は驚くのだろうか?」という問題に対する解答そのものだと考えている。

一体全体どうすれば人は感動し、感激し、感銘を受けるのか?四六時中そんな思いで仕事に励んでいる人はどれくらいいるだろうか?

感動や感激、感銘は数値化できるものではなく、無限の大きさを持つものだと思う。それだけに、仕事に対するスタンスとして、どれくらい真剣に「感動創造」に直面しているかで結果は明白だ。

生活のために割り切って働く感覚では「感動創造」は覚束無い。

一種の真剣勝負のごとく、365 日 24 時間ずっとその仕事のことが潜在的に自分のアタマの中に存在しているかどうかが肝心なポイントになるだろう。

いわば仕事と休暇の境目の無い生活が強いられるのである。

そんな状況であるから、それは自分が好んで人生の目標とし得る仕事であるかどうかが自ずと成功するための必要条件と言えるだろう。

  

2005 年 12 月 29 日 : 営業しない理由

創業の頃、生存するという目的のため、時々営業に出かけた。2004 年以降、製品のクオリティと知名度の上昇と共に製品が売れ始めるようになってからは営業活動を控えている。

その代わり、Web を通じた世界への情報発信に全力投球している。

何百年、何千年にも渡って未来永劫に続く作品を創造することが、ソフィア・クレイドルという名の起業の最も大きな目標であり、目的である。

それは、マズローのピラミッドの頂点に位置する「自己実現」の世界である。

生存のために、必要最低限の営業活動をするにしても、最終的には「自己実現」を果たせるかどうかが人生における最優先課題である。

長そうに思えて人生は短い。それだけに最短経路を探索しその道を進むのが重要だろう。

数百年、数千年の時を経て、今もなお残るもの。

それは営業が良かったからそうなったのだろうか?

人それぞれに好みは違うと思う。僕はモーツァルトの曲が好きである。営業されたから、説得されたから、という理由でモーツァルトを聴いているわけではない。ある日、たまたま耳にした曲が自分のフィーリングと合致した結果、そうなったと言える。それからモーツァルトの曲を知れば知るほど聴きたくなったのである。同じく最近の曲についても言える。

シンプルに表現するならば「曲そのものが良かった」というしかない。

同じことが自分の仕事にも当てはまると考えている。営業する時間があれば、自分が手がける仕事の完成度を高めたり、アウトプットを世界中の人に瞬間的に知ってもらうために Web に表現することに費やすのがベストではないかと思う。

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2005 年 12 月 29 日 : ひろがりゆく次元の視界

人々はどれくらい先の未来を眺めて生きているのだろうか。

時々、そんな素朴な疑問が生じる。高所恐怖症でもない限り、超高層ビルの展望台からの都会の夜景などの眺めは絶景だ。多くの人は高い所を目指している。

高ければ高いほど遠くまで見渡せる。けれども、同じ発想を時間軸上で展開して人生を生きる人は少数派なのではないだろうか?

数百年、数千年先の遥か彼方にまでひろがりゆく立体的な四次元の空間をイメージすると、目前に迫る現実の風景も全然違って見えてくるから不思議だ。

案外、詰まらないことに足を掬われて貴重な時間を無駄にしていたりする。たまには高い所から眺めるようにして遥か先の未来の風景を思い浮かべてみる。

きっとそんな時、独創的なアイデアは閃くだろう。

  

2005 年 12 月 29 日 : 圧倒的な差を生むもの

ソフト業界を見渡せば、オペレーティングシステム、データベース、検索エンジン、画像編集ツール・・・あらゆる分野で寡占が進んでいる。

このジャンルでは勝者は限られてしまうのである。

経営者としての性格からか、「勝者」と「敗者」を隔てるものに取り分け関心がある。

以前の日記にも書いたけれど、ソフトというものは質量を持たない。それ故、無限大のクオリティの世界がひろがっているとも言える。

クオリティは無限大なのだけども、勝者と敗者を決定付けたその要因というのは至って単純で些細なことが常である。ささいなことが時と共に指数関数的曲線の差となって現れる。

創めの頃であればあるほど、それは致命的な結末に繋がるので注意が必要である。ソフトというものは単なる"ソフト"なのだけど、プログラムだけでなくそれらを表現するコピーライティングやデザイン的な要素もある。

意外にも、コンピューターのソフト業界ではコピーライティングやデザインといったものがおざなりにされがちに感じる。

その間隙を縫って、世界の桧舞台に登場した典型的な例が、Apple Computer, Inc. 創業者スティーブ・ジョブス氏である。

1 ドット 1 ピクセルを変化させるだけで、その情景へのフィーリングがガラッと変化する複雑系の世界でもある。

それだけにあらゆる面において細分まで徹底してこだわりたい。何故ならそのスタンスこそがソフト業界で生き残るための鉄則だからである。

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