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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : Vision

2006 年 03 月 03 日 : Global standard

昔、高度な数学的理論に興味を持って、それに没頭していた時期があった。

多くは忘却の遥か彼方にあるけれど、最初に面白いなと思ったのが、「座標変換」という空間の見方に対する概念である。

3 次元空間であれば、3 つの座標軸で空間を眺めることができる。

でも、その 3 つの座標軸の選び方は無限にあり、その選択によって空間の概観が全く違って見えてくるのだ。

対象となる問題に応じて、適切な座標軸を設定することにより、その解は驚くほどエレガントに美しく展開されてゆく。

その時思ったのは、数学で大切なのは無数に選択しうるものの中から、状況に応じて、全体を美しく表現しうる根本的な存在を見出すセンスであるということだ。

そんな発想法はいまのビジネスでも随分と役立っている。

長年に渡り大学院博士課程まで数学を学んだだけの甲斐もあったと言えるだろうか。

ビジネスの空間においても、業界毎、企業毎 … というように、それぞれに考えやポリシーがあって空間を表現するための無数の基軸があると思う。

数学的な発想から、会社の命運は空間の基軸の選び方によって定まると考えている。

僕には、ソフィア・クレイドルで創造されたモノを世界中に広めたいという強い意志がある。

このビジネスを創めた時から「世界」しか眼中にない。

そんな空間をシンプルにエレガントに創り出すための座標軸は何か?という問題意識を大切にしている。

ヒントは、「志」の根源にある「世界」という点にありそうな気がした。

「世界」に広めるには、世界で全てに共通して言えるということが絶対に押さえるべき必須のポイントになると考えた。

ベンチャーだから、最初はニッチだけれども、将来的には爆発的にスケールアップして成長しうる、新しい空間を見出して、その空間を考え抜いて選んだ座標軸で眺めるのである。

着眼点はコンピューターの小型化のトレンドとプログラミングというプロセスへの業界の安易な取り組み方にあった。

コンピューターの歴史を紐解けば、小型化に向かって時が流れている事実は簡単に発見できる。

コンピューターが生まれた初期の頃、ハードウェア資源の貴重さから、それをソフトウェアでカバーすべく、いろんなプログラミングテクニックやアルゴリズムといったものが考案された。

多くのプログラマーはそんな創造的な仕事に寝食を忘れて取り組んでいた。

けれども、いまでは PC の性能が高機能になり、プログラミングテクニックを駆使しなくとも、簡単にプログラミングができるようになった。

結果的に、プログラミングという仕事は創造性が全く要求されないという認識が広まり、本格的なプログラマーという職種を目指す人が激減しているように思う。

プログラミングという仕事の楽しさは、「サイズ」が小さくて、「スピード」が速く、人々のフィーリングにあった「ユーザーインターフェース」を持つソフトウェアをエレガントに表現するところにあると僕は考えている。

ソフトウェアは小さければ小さいほど良いし、速ければ速いほど良い。ハードウェア資源がそれだけ少なくて済むからである。使い易さについても同じくである。

これは世界共通のグローバルスタンダードなコンセプトだと思う。

現状のソフトウェア業界を見ていると、そんな観点から究極の仕事を目指している企業はほんの一握りの存在でしかないと思う。

安易に妥協して目先のお金を追い求めて東奔西走しているのが現実の姿ではないだろうか。

だからこそ、ベンチャーはそんなニッチに将来に夢と希望を抱いて全てを賭けるだけのチャンスを見出せるのだ。

携帯電話がネットに接続され、インターネットの恩恵をどこにいても手軽に享受される時代となった。

この先の流れをどのように読み取るかが、IT 業界に身を置く経営者としてのセンスが試されるところだろう。

今後十数年の間に、携帯電話以外にもいろんな機器がネットに接続されてゆくと思う。

その時に、接続される機器に組み込まれるコンピューターとはどんな仕様のものとなっているだろうか?という問題意識が何よりも大切だろう。

エコロジーの時代だから、ハードウェア資源が小さくて済めば済むほど、それは世界中の人々から喜ばれるはずである。

そんな風にこの空間を眺めれば、「スピード」と「サイズ」は絶対に外せない基軸となり得る。

当然、人々のフィーリングにマッチした「ユーザーインターフェース」も欠かせない。

「スピード」、「サイズ」、「ユーザーインターフェース」という、グローバルスタンダードとも言える 3 つの座標軸から構成される空間から、その世界で No.1 を目指している企業は例外的な存在といえるかもしれない。

けれども、こんな観点からこの業界を眺めて事業を推進する姿勢に飛躍に向けたチャンスが隠されていると思う。

  

2006 年 03 月 02 日 : 数学からの発想 II

[問題]

  円周率 π = 3.14 として、半径 10 センチメートルである円の面積を求めなさい。

勿論、解答は『314 平方センチメートル』である。小学生でも簡単に解ける問題だ。

何故なら、半径 r の円の面積 S は以下の式で求めることができるからである。

   S = π × r × r

極めて単純な公式である。

けれども、何故 S = π × r × r なの ?と問われた時、どれくらいの方が正しく答えれるだろうか?

高度な数学的な理論が要求されるので、ほとんどの方は証明できないと思う。

肝心なポイントは、この公式を証明するところにあるんじゃなくて、こういった公式の存在そのものの有り難さにあるのだ。

大学レベルの数学的な知識なくしても、単純に公式にパラメーターを当てはめるだけで小学生でも簡単に問題が解けてしまうという事実である。

小学生でも円の面積が計算できるように、ソフトウェアの世界でも、将来的にはそういった公式や定理のようなものの積み重ねによって、誰でも簡単にソフトウェアが開発できる時代がやってくると考えている。

いま、僕たちはそんなインフラを数学的なアプローチで構築している真っ最中である。

  

2006 年 03 月 02 日 : 数学からの発想 I

コンピューターの理論そのものが 2 進数の数学ということもあって、研究開発で最も大切にしているのは数学的なアプローチ。

いま、この日記をインプットしている正確な住所は、『日本国京都府京都市左京区田中関田町 2 番地 7』である。

話を簡単にするため、高さを無視し、2 次元の世界で考えるならば、2 次元平面上の全てのポイントは、その平面の基本的な 2 つの要素の組み合わせで表現できる。例えば、緯度と経度の組み合わせによって表すことができる。

『日本国京都府京都市左京区田中関田町 2 番地 7』であれば、( 北緯:35.01.42.56、 東経:135.46.37.85 )である。

人は日本語で記述された住所の方が分かり易いが、正確さやシンプルさ、機械的な処理からは、緯度と経度の組み合わせによる数字の表現の方が圧倒的に優れている。

コンピューターの世界では、『日本国京都府京都市左京区田中関田町 2 番地 7』を、(N35.01.42.56, E135.46.37.85)という無味乾燥な数字に置き換えて処理がなされるのだ。

その方がスペースも少なくて済むし、機械的な処理をするプログラムも開発しやすい。

簡単な例で言えば、『3.141592653589793238462643383279…』という、延々と意味不明な数字が並ぶ『円周率』を単に『π』と置き換えることによって数式が断然見やすくなるのと同じ感覚である。

これは全然高度な数学的な理論じゃなくて、全く当たり前の基本的な概念に過ぎないけれども、とても大切な原理原則だと思う。

複雑なものを基本的な要素に分解し、それにマッピングするのである。

携帯電話向けソフト開発の場合であれば、"サイズ"、"スピード"、"ユーザーインターフェース"という 3 つのベクトルで構成される座標軸からものごとを洞察するスタイル。

僕たちの仕事の大半はこのような原理原則を繰り返し適用しながら進められている。

  

2006 年 03 月 02 日 : Atomic energy

小さな原子レベルの話ではあるが、2 つの原子核が融合し、新しい原子核が生まれる、核融合の時に放たれるエネルギーは巨大である。

逆説的だけれど、本当に衝撃的なものって実際のところ原子のような矮小な世界にあるのではないか。そんな想いを抱いて研究開発事業を展開している。

お客様の声をよく聴いてニーズを見出して、商品やサービスを開発し販売せよと言われる。

確かにそうすれば、そのお客様や同じようなニーズをもった人々にその商品は売れるかもしれない。

でも時を超えて万人に選ばれるものって、そんな行動パターンで生まれるのだろうかという疑問もある。

例え今風のトレンドにのって流行っている曲にしても、数百年後の世界では跡形もなく消え去っているのが大半ではないだろうか。けれどもモーツァルトの曲はいまもなお人々に愛されている。

流行っている曲もずっと愛され続けられるのってのもある。だから可能性はゼロではない。

そこで考察すべきなのは、モーツァルトは具体的な人々のニーズに従って妥協しつつ曲を作ったのだろうかという空想である。

僕は、モーツァルトの曲は、人間という生き物の心に共通する本質にシンクロして創られたのではないだろうかと思っている。

具体的なだれそれのニーズじゃなくて人間そのものが求めるものを創造したということである。

だから数百年の時が経過しても世界中の人々に親しまれているのではないか。

僕たちもそんなスタンスでいろんなコンセプトを構想しインプリメントしていきたい。

今のところ、まだ人間の本質を捉えたプロダクトやサービスを創造するという域には達していない。けれどもコンピューターというもののエッセンスを大切にして研究開発を推進している。

具体的には、コンピューターは 2 進数の数学で動作していると抽象的に考えてよい。

ただ数学の世界と異なるのは、人にとって時間は有限でありコンピューターを構成する部品の大きさも有限であるという現実だ。

人間の歴史は既知の境界線を未知の領域へと拡大してきたと言っても良い。

そんな時代の流れに僕たちも乗ることができれば、ベンチャーと言えどもきっと成功するだろう。

そういった発想から、コンピューターをコントロールするソフトウェアの世界で、スピードやサイズといった制約を革新するような事業は、いつの時代であろうと何処においても必ず人々に必要とされるだろう。

根本的な領域ではあるが、そんな原子レベルの世界にこそ秘められた偉大なパワーがあるんだと信じている。

  

2006 年 03 月 01 日 : Universality

21 世紀に繁栄する企業のカタチについて考える機会が多い。

僕はこんな風に思う。

産業革命以来、社会は急速に進歩し発展した。コンピューターとインターネットによる情報革命によって時が刻まれるスピードが更に加速している感は否めない。

もしそうだとすれば、時代のスピードにどのように対処し変化してゆくかが重要なポイントとなる。

物理的な問題の場合、慣性の法則で、重量が重いものよりも軽いものの方が今の状態に止まろうとする慣性力は弱く働く。

そんな推論をすれば、ダイナミックに変化し続ける世の中にあって、生き残るための条件は身軽な少数精鋭の組織体ではないかと思った。

人数が少ないからといって、それ相応の仕事をするんじゃなくて、できれば少人数なのに世界にインパクトを及ぼすような何かを達成したいという願いがある。

それ故に、ほんの数人しかスタッフがいないのに、世界的に評価されるビジネスモデルは何かという問題への解決策が全てに優先する経営課題であると思って、この事業を推進している。

人数が少なければ、当然、創るものも小さなものになってしまう。

けれども、大きなものも分解すれば小さなものが構成要素になっていることは自明の理である。

大切な発想は、巨大なものでも、それを構成する最小単位のもので最も付加価値の高いものは何かと洞察することだ。

そして、時間軸や空間軸といった座標軸を超えて、普遍的で、クラシカルなものを探し求めることなのだ。

それさえ見つかれば、小さなものでも何十年以上にも渡って世界中で選ばれ続けることだって有り得る。

これからの未来のベンチャーでは、こういった発想は無視できないものとなるだろう。

  

2006 年 01 月 24 日 : Web 2.0 & Database ?

たまたまネットサーフィンしていたら、

"Web 2.0 の時代ではデータベースが重要だ"

という至極当然なことが書かれていた。

コンピューターが情報システムと呼ばれることになった 1960 年代から今日に至るまで、コンピューターシステムにおいて、データベースはずっと変わることなく根幹を成すものである。

だからデータベースのハイテクベンチャー、米国オラクル社は急成長を遂げた。

むしろ大切な発想は、もっと掘り下げて洞察し、データベースという概念をどのように位置付けるかだろう。

人の心に触れる出来事は、人それぞれの視点や感性によって天と地ほどの開きが生まれる。

それは、同じ出来事でも、あるフィルターを通すことで全く異なる新たな価値が生まれるということを意味する。

世界中でネットが広く普及し、以前にも増してさまざまな人々が利用するネット社会では、データに対する解釈やさまざまデータの組み合わせの中に偉大な価値を見出せるようになるだろう。

それこそが新しい Web システムにおけるデータベースのエッセンスだと思う。

  

2006 年 01 月 21 日 : 刻まれた歪な曲線

"掌に刻まれた歪な曲線
何らかの意味を持って生まれてきた証 ・・・ "
( Lyric by Kazutoshi Sakurai 2003 )

この一週間は久々の忙しさだった。

ある意味では、ようやくエンジンが動き出したのかもしれない。

当分の間こんな日々が続きそうだ。

束の間の休息は、冒頭に記したメッセージで始まるの DVD の映像を眺めつつ、新たな発想を求めてさまざまな幻影が頭を翳める。

中学生の頃、最も関心を強く抱いたのは数学だった。

さまざまな関数を組み合わせることで出来る曲線がただ面白かった。

次第にそんな数学の関数に興味を持ち、その意味を探るべく、大学では数学を世の中に活かす術についての研究を志した。

大学を卒業して社会に出てからは、数学とは全く無縁の世界に身を置いていた。

でも、いまでは数学と関係のあるビジネスができているのでワクワクしている。

それは携帯電話のアプリで

y = sin x

を始めとする、さまざまな数学的な関数を利用可能にする技術を具体的な例として、世界に情報発信できる日が間もないからである。

以前からソフィア・クレイドルの WEB では、その技術を情報発信していたが、実際のプログラムコードの発表は世界で初めてだ。

では、携帯での y = sin x がどんな意味があるっていうの?

というのがほとんどの人々の感想かもしれない。

それ故にだからこそ、そんな仕事はベンチャーに似合ってるんだと思う。

多くの人は y = sin x が波形の曲線を描くのは知っているけど、それが何なのかということを想像するものは少ないだろう。

波形の曲線は"強"と"弱"の繰り返しをイメージさせる。

音声や画像、株価の変動など日常生活で数え切れないほど、"強"と"弱"のリズムが繰り返される。

要するに 携帯での y = sin x が意味するものは、それが携帯電話で現実となることなのだ。

人の声の認識や顔の認証、画像の圧縮・伸張、株価の変動、高度な暗号化などでは y = sin x が不可欠なのである。

たったこれだけに過ぎないのだけれども、その威力は偉大である。

空気に含まれる酸素は、単にひとつの元素でしかないけれど、地球上の生命にとって欠くべからざる存在である。

そんなものを捜し求め、そして発見するのが研究開発型ベンチャーの最高の喜びかもしれない。

  
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